子どもへのイライラや怒り、どうしたらコントロールできるのでしょうか? 『子どもへの「怒り」を上手にコントロールできる本』(榎本博明 著)から学びます。

 

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怒ってばかりの毎日に嫌気がさす。もっと穏やかに暮らしたいのに、子どもを前にすると、どうしても怒りが爆発してしまう。どうしたら自分の感情をコントロールできるのでしょうか。そんな質問を受けることがよくあります。

 
本書では何度も、親子で気持ちをぶつけ合うのは悪いことではないと説明してきましたが、たしかにあまりにも感情的になりすぎる、感情を爆発させすぎるお母さんもいます。そうしたお母さんは、子どもに対して冷静に対処できるお母さんを見るにつけ、自分の未熟さを痛感させられ、気持ちが落ち込みます。イライラが消えたり、怒りが和らいだりしたら、自分自身もどんなに楽になるだろうと思っていることでしょう。そんなお母さんのために、怒りの自己コントロールの方法をいくつか紹介します。
 
まずは「ナレーション法」。
 
イライラして怒りを爆発させるようなときは、感情の渦に巻き込まれて、冷静さを失っています。そこから抜け出すには、自分自身を客観視するのが有効です。そのために行なうのがナレーション法です。
 
たとえば、子どもの態度に腹が立ち、激しい言葉の応酬をしながら爆発しそうになったときは、
 
「ここまで我慢してきたお母さんですが、子どもの生意気な言葉に、『あなたのためを思って言ってるのに、何よ、その態度は!』と、ついにブチ切れそうです。我慢できるか、お母さん。それとも、ここで大噴火か。一触即発の険悪なムードになってきました」
 
「いくら注意してもまったく無視。『いい加減にしなさい!』と怒鳴っても、まだ無視してゲームに熱中する息子。さて、どうする、お母さん。怒りが込み上げてきて爆発寸前です」
 
といった調子で、実況中継風に自分自身の心模様を描写するのです。第三者の視点から自分の心の動きを描写することで、感情の渦に呑み込まれそうな自分自身の気持ちを冷ますことができます。感情が爆発しそうな危険を感じたとき、ひと呼吸置いて、ナレーション法をやってみることをお勧めします。
 
次に紹介するのは、「記述法」です。ナレーション法は、怒りが込み上げて爆発する危険を感じたときに用いる方法ですが、記述法は、腹が立ったストレスフルな出来事を思い出しながら、自分の怒りの感情をその出来事から引き離す方法として用います。
 
たとえば、寝る前のちょっとした空き時間に、ひどく腹が立った出来事を思い出しながら紙に書き出します。こんなことがあったという出来事の簡単な記述のあとに、それによって喚起された腹立たしい思いを記述します。
 
「せっかく子どもが好きなハンバーグをつくってあげたのに、おやつを食べすぎたせいで残したから、ものすごく腹が立った」
 
「何度注意してもゲームをやめないからゲーム機を取り上げたら、口汚くののしって、ほんとにムカついた」
 
「忙しいときに、ジュースの入ったコップを倒したり、部屋を走り何って花瓶を倒したりするから、つい腹が立って、怒鳴るだけでなく手が出てしまった」
 
書くことによって、怒りの感情は「文字」という形に客観化されます。それを改めて読み返すと、それほどムキになって怒るほどのことでもなかったと思えてきます。冷静になってみると、怒りすぎて子どもがかわいそうだったと思えてくることもあります。
 
このような記述を、ときどき時間に余裕のあるときにやってみると、次第に似たようなことが起こっても、これまでのようにムキにならずに冷静に対処できるようになっていくから不思議です。
 
 

 
 

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【出典】

榎本博明 著
なぜ、子どもに怒りを抱いてしまうのか?「怒りのスイッチ」の消し方、性格心理学に基づいたイライラ解消法、自己コントロールのコツ等をわかりやすく解説しています。
 
 
 
 
 
 
 
【著者紹介】
榎本博明(えのもと・ひろあき)
心理学博士。1955年、東京都生まれ。東京大学教育心理学科卒業。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、大阪大学大学院助教授、名城大学大学院教授等を経て、MP人間科学研究所代表。心理学をベースにした企業研修・教育講演などを行なっている。
著書に『「聴いてるつもり」症候群』(集英社)、『<ほんとうの自分>のつくり方』(講談社現代新書)、『近しい相手ほど許せないのはなぜか』(角川SSC新書)、『「自分はこんなもんじゃない」の心理』(PHP新書)などがある。