低学年でパッとしなかった子が、高学年になって突然「目覚める」事があります。その背景には、一体どんな要因があるのでしょうか。

 

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低学年で冴えなくても、ある日、突然目覚める

 

首都圏でも屈指の難関私立小学校として知られる慶應義塾幼稚舎の学校説明会に行くとよく耳にするのが、「教育とは子どもに感動や刺激を与えること」というフレーズです。

 

幼稚舎は、説明会に集まった親の前で「勉強は家庭の責任」と宣言し、実際、遊びや運動に重点を置いて子どもを伸ばそうとする小学校なのですが、この教育方針には「なるほど」と感じたものです。

 

毎年、中学受験で難関校に合格した子どもを取材していると、「小学校低学年では冴えなかったのに、高学年になって目覚めた」という子どもがいます。また、中学に入学して以降、「人が変わったように勉強するようになった」という子もいます。

 

子ども本人に話を聞いてみると、いきなり「目覚めた」背景には実にいろいろな要因があることがわかります。

 

 

・家族で自然史博物館に行き、「こういう研究をしてみたい」と思ったから

 

・父の職場を見せてもらい、テレビの仕事をしたいと思うようになったから

 

・五年生のとき、私立中学校の学校説明会や文化祭に行き、「どうしてもここに入りたい」と思ったから

 

・塾に入り、ほかの学校のライバルたちを見て「負けたくない」と思ったから

 

・初めて外国(アメリカ)に旅行に行き、「英語ができればなあ」と感じたから

 

・サッカー日本代表のゴールキーパー、川島永嗣選手が英語だけでなく何ヵ国語もできると知って、そうなりたいと思ったから

 

・数学や理科の先生がとてもいい先生で、授業が楽しくなったから

 

・家族の病気で病院の先生の姿を見るようになり、自分もああいうふうに人の命を救える職業に就きたいと思ったから

 

 

これらは取材メモから書き起こしたものですが、大きく言えば、1つの大きな共通点があることに気づかされます。

 

それは、第三者から受けた感動や刺激によって覚醒しているということです。言い換えれば、子どものやる気は、内的要因ではなく外的要因によってスイッチが入るケースが多いということにもなります。

 

私はここに、10歳から子どもを伸ばす最大のヒント、最短のコツがあるように感じるのです。

 

「うちは、幼少の頃から、子どもにはいろいろなものを体験させてきた」

 

わが家もそうですが、皆さんの中にも、子どもと、博物館や美術館、旅行やスポーツ観戦など、さまざまな場所に出かけたという方は多いはずです。

 

ただ、残念なことに、子どもは物心がつく前の体験、小学校低学年あたりでの思い出はすぐに忘れてしまいます。覚えていても、それをこれからの頑張りの糧にするようなことはまずありません。

 

それだけに、パパやママは、過去の実績に安心せず、慶應義塾幼稚舎の教育方針ではありませんが、今後も、子どもに感動と刺激を与え続けることに力を注いでいただきたいと思うのです。

 

尊敬できる人、憧れの学校や職業、それにライバルや異文化との出会いが、やる気の導火線に火をつけてくれるかもしれません。

 

 


 

【本書のご紹介】

 

頭のいい子が育つ10歳からの習慣


『頭のいい子が育つ10歳からの習慣』

「10歳はもう手遅れ」は大間違い! あとからグングン伸びるための生活習慣、生きる力と特技の磨き方、受験との向き合い方などを紹介。

 

【著者紹介】
清水克彦 (しみず・かつひこ)
1962年、愛媛県生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 文化放送に入社後、政治記者を経て米日財団フェローとしてアメリカ留学。帰国後、報道キャスター、情報ワイド番組プロデューサーなどを歴任。江戸川大学や育英短期大学で非常勤講師を務める。
現在は報道デスクとしてニュース番組の制作や解説に従事するかたわら、政治と教育問題を取材し、執筆や講演も精力的にこなしている。