子どものしつけの超基本【トイレ・ご飯・睡眠】

菅原裕子(NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事)
2024.08.16 13:41 2015.05.25 12:00

電車の車窓と子ども

子どもを思い通りに動かそうと、ほめたり叱ったりしていませんか?子どものしつけの「超基本」を、菅原裕子先生より伝授いただきましょう!

※本記事は『子どもの心のコーチング【しつけ編】 「ほめる」「叱る」よりうまくいく子育ての極意』(菅原裕子著、PHP文庫) より一部抜粋・編集したものです。

【著者紹介】菅原裕子(すがはら・ゆうこ)
NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事。有限会社ワイズコミュニケーション代表取締役。 1999年、有限会社ワイズコミュニケーションを設立し、社員一人ひとりの能力を開発することで、組織の変化対応力を高めるコンサルティングを行う。仕事の現場で学んだ「育成」に関する考えを子育てに応用し、「ハートフルコミュニケーション」を開発。全国のPTA、地方自治体、地元の有志主催による講演会で「ハートフルコミュニケーション」を紹介。また、それぞれの生活の中で「ハートフルコミュニケーション」を伝えられる「ハートフルコーチ」を養成。2006年、NPO法人ハートフルコミュニケーションを設立し、日本中の親たちの子育てや自己実現を援助する活動を展開中。

しつけの超基本

頬をつく子ども

○人間は不快を避けるためにトイレに行く

変な質問をします。

「あなたはなぜ、トイレに行くのですか?」
「トイレに行くと、どんないいことがありますか?」

トイレへ行くのを我慢しているときは不快です。その不快をなくすために、私たちはトイレに行きます。すると、排泄物を出してスッキリします。

もともと人間は、不快を避けようとします。そのようにプログラムされています。寒さを避けるために重ね着をします。暖房をつけます。暑いときは、扇風機をつけたり、水を浴びたり、冷房をつけたりします。これらはすべて、私たちが不快を避けるための行動です。

人間は教えられなくても、不快を避けようとします。ですから、排泄など、不快を避けるためのしつけに、それほど神経質になる必要はありません。ただ自然に、不快を感じさせることが大切です。

不快を感じないと、「それが嫌だ」という体験ができないからです。それが布おむつの優れたところだと、私は教わりました。

時期が来たら、そろそろというときにトイレに座らせるのがよいでしょう。おしっこのタイミングを親が読み取ったり、子どもが知らせるようになれば、トイレに座らせましょう。

子どもの自然な生理現象を信頼しさえすれば、自然にしつけは進みます。お漏らししたら、「濡れちゃったね」と着替えさせ、おしっこを教えてくれたら、「おしっこ言えたね」と喜べば、いずれできるようになるのです。

ところが、下着を汚したことを叱ったりすると、お尻の不快より、叱られる不快を嫌がり、お漏らしを言わなくなってしまいます。親が神経質になると、しつけはうまく進まなくなります。

菅原裕子

菅原裕子

NPO法人ハートフルコミュニケーション 代表理事
NPO法人 日本ファシリテーション協会 フェロー

人材開発コンサルタントとして、企業の人材育成の仕事に携わる。
従来の「教え込む」研修とは違ったインタラクティブな研修を実施。参加者のやる気を引き出し、それを行動に結びつけることで、社員と企業双方の成長に貢献。

1995年、企業の人育てと自分自身の子育てという2つの「能力開発」の現場での体験をもとに、子どもが自分らしく生きることを援助したい大人のためのプログラム-ハートフルコミュニケーション- を開発。各地の学校やPTA、地方自治体の講演やワークショップでこのプログラムを実施し、好評を得る。

2006年、NPO法人ハートフルコミュニケーション設立。