噛みつく、叩く…乱暴に振る舞う子どものしつけ

菅原裕子

観察すればそのときがわかる

○叩きそうになったら手をとる

他の子どもと遊ぶときは、目を離さず、そばについていてください。 観察していると、どんなときに手を上げるかがわかるようになります。その変化を捉えて、手を上げようとした瞬間に、優しく手をとります。そっと優しくというのがコツです。しばらくはこれに集中してみてください。繰り返すことで、手が上がらなくなることもあります。

○子どもの気持ちを言葉で表す

子どもは何か表現したいことがあって、でも、それが言葉ではうまく表せないので、ついつい手を上げます。子どもの様子を観察していれば、子どもがなぜ手を上げたか想像がつきます。子どもが誰かを叩いてしまったとき、子どもの気持ちを言葉にしてあげてください。

「お山をこわされて嫌だったのね」
「あの子のおもちゃがほしかったのね」
「叩かれて嫌だったのね」

子どもにしてみれば、その気持ちを表現しようと手が上がったのです。自分の気持ちがわかってもらえる安心感が得られれば、手が上がらなくなることもあります。

○どう言えばいいかを言葉で教える

表現する言葉を知っていれば、子どもも手を上げずに済みます。子どもの気持ちをどう伝えればいいのかを、親が言葉にしてください。これがその後、子どもの自己主張能力を育てる基本になります。

「お山をこわされて嫌だったのね。こわさないでって言おうね」
「あの子のおもちゃがほしかったのね。貸してって言おうね」
「叩かれて嫌だったのね。やめてって言おうね。叩かないでって」

○親が話してみせる

叩いた、叩かれた、その相手の子どもに、実際、親が話す場面を見せるといいでしょう。

「砂のお山をこわされて嫌だったみたい。こわさないでね」

「あなたのおもちゃで遊びたかったの、貸してくれる?」

「叩かれて嫌だったの。叩かないで遊ぼうね」

相手の子どもには通じるかもしれませんし、通じないかもしれません。しかし、それはどちらでもよくて、その姿をわが子に見せること自体に意味があります。

もう少し大きくなると、親がやった通りに、自分で伝えようとするようになります。そうしたら、親は子どもの代弁をすぐにやめてください。代弁し続けると、子どもは自分で言うことをしなくなる可能性があります。