10歳を過ぎた男の子は、お母さんの言うことをなかなか素直に聞いてくれません。ひとりで頑張りすぎず、「任せ」ワザを上手に使いましょう!

 

 

頼るのも才能!「任せ」ワザ

 

「も~! 脱いだ服は片づけてよ!」

「いい加減、さっさと動いたらどうなの!」

「便座のふたは閉めてよね、金運が逃げるっしょおぉぉ!」

 

朝から晩まで、毛穴からシューシュー蒸気が出るほど叫ぶ日々。カルシウム、足りてますか?  いったいオーバー10ボーイズは、なぜにこれほど母ちゃんを奮い立たせてくれるのでしょう。大口開かせてくれるんでしょう。顔動かして、シワ防げってことでしょうか。

 

そんなあなたにオススメなのが、ここでご紹介する「任せ」ワザです。あなた一人が、がんばらなくていいんです。信用できる誰かさんに、子どもをポンと「任せて待つ」。それだけです。そしてその人に「脱いだら洗濯機」「ふた閉めろ」など、いつも言ってるあれこれを伝えてもらいましょう。私が小学5年生の頃、こんなことがありました。場面は運動会です。先生にそっと耳打ちされました。

 

「あの子たちに『そこに座っちゃいけないよ』って言ってきて」

 

見ると4年生の男の子が数人、とび箱に座っています。なんで先生、自分で言わないのかな~と思いつつ、その子たちに近づいて言いました。

 

「そこに座っちゃいけないよ」(←棒読み)

 

するとハッとした顔をして、「うん」とあっさり降りたのです。その後先生はにやりとして言いました。

 

「な?年上の言うことは聞くんだよ」

 

いやいや、先生のほうが目いっぱい年上でしょう!と突っ込む代わりに、自分なりに考えました。

 

ちょい年上の人から言われると効く。普段あまり接点のない人のほうが効く。

きれいなお姉さんの言うことは効く。そう結論づけました(←ホントかい!)。

 

「他人には 優しく会話 する息子」という川柳があります。母ちゃんには見せない顔を、人には見せるようです。だからたまには、誰かに言ってもらいましょ。あなたが手っ取り早く「任せ」られるのは、どなたですか?「だんなです」という声が聞こえたので、まずはだんなさんから。

 

パパの余裕があるときに、このようにお願いしてください。

 

「今日は半日、子どもを頼むわ。うり坊も大きくなって、私じゃ手に負えなくなってきたのよ。これからは、男親のあなたに話を聞いてもらえると助かるわ」

 

引き受けてもらえるかどうかは、そのときのスタンスにかかっています。 あくまでも「あなたが頼りなの」という心持ちで話してください、決して「あんたも親だろっ」といった高圧的な態度ではなく。わが家では10歳を過ぎてから、父&息子ペアの行動が急速に増えました。釣りに行く、ツーリングする、スキーに行く、野球観戦するなどです。服や靴の買い物も、母の出番はめっきり減りました。「お母さんと行くと、あれは高い、これはチャラいってうるさいんだもん」とか。男の子のいるママ友だちも言います。

 

「お風呂はもう私とは入らない、お父さんと入る。あ、弟とは入るけど」

「私には言わないけど、だんなには好きな子のこと話してるみたい」

「『お母さんは囗うるさいからキライ。お父さんがいい』って、はっきり言われた」

 

どんどん"オトコ化"してくるお年頃。男同士だからこそ、わかり合える、理解し合える部分が増えるのでしょう。うちではたっぷり時間を共有したあと、「トイレのふた閉めろよ、公害だぞ、おまえの」とか、さらりと言うそうです。心配ならばもうひと押し、「言ってくれた?」とメールするとバッチリです。

 

また、おじいちゃん、おばあちゃんに「任せる」と、期待以上の働きをしてくれます。こちらからお願いしたことのほかに、「偉人のお話」や「心の話」などもしてくれるからです。親が言うと「ケッ」みたいな顔をされるその手の話も、じいちゃん、ばあちゃんは別なようです。さすがは年の功です。祖父母は孫に甘いところもあります、日にアイスを3個も食べさせちゃったりします。けれどそうして100%受け入れてくれるから、子どもも聞き入れ態勢充分なのでしょう。私はこんな依頼もします。

 

・これから起り得ることを想像し、

・言ってほしいことを「先に」頼む。

 

お小遣いをくれそうなときは、「『勉強に使うものを買いなさい』って言って」と耳打ちします。進学祝い・入学祝いやお年玉など、大きいお金をくれるときは、「『半分は貯金しろ』って言って」とささやきます。子どもが見ていて伝えにくければ、メモしてこっそり渡します。もうね、「貯金するよ」と言っても「ぼくのだ、ドロボー」ですもん。渡す際に言ってもらえると助かります、「ばあちゃんに言われたでしょ?」ですみますから。同じ手で、「早く寝なさい」や「道具の手入れはしっかりせぃ」もいけました。祖父母が難しいなら?いとこや親戚、ご近所さんや気の合うママ友・パパ友を総動員、子育て応援団になってもらいましょう。

 

こちらは有料ですが、習い事の先生や師匠、コーチにも任せられます。キャンプ教室やカヌーなど、1日だけの習い事、体験でもかまいません。このときのポイントは、「子どもが」あこがれる人を選ぶことです、「あなたが」あこがれるお兄さんではなく。 すると"聞き入れ率"がど~んとはね上がります。10歳を過ぎると、先生への批判や好き嫌いを言い出すでしょう?それは"人を見る目"ができつつある証拠。そのぶん、好きな大人を見つけられたラッキーです。喜んでその人に教わろうとします、だってそんな大人になりたいんですもの。

 

男の子が好きなのは、「強い」「速い」「かっこいい!」。新幹線も戦隊物もこれを満たしているからヒーローで、これを満たしているからマネします。だからそんな要素がひとつでもある大人がいたらめっけもの、スーッと言葉が浸透します。

 

え?「人に任せるのは気が引ける」ですと? 頼られるって嬉しいですよ。あなたもそうでしょ? 頼るのも才能! 頼った人の数だけ、太くでっかく育ちます!

 

出典:『10歳からの男の子は「聞く」より「待つ」でうまくいく』

 


 

【著者紹介】 若松亜紀(わかまつ・あき) 親子の集いの場「陽だまりサロン」オーナー。秋田大学教育学部卒業後、私立の幼稚園に7年間勤務。閉園により退職。その後、出産、子育てを経て2005年、自宅にて子育てサロンをオープン。運営のかたわら、子育て、コーチング、コミュニケーションの講座やセミナー、執筆などを行なう。 著書に『子どもが輝く幸せな子育て』(ほんの木)、『もう怒らない!これだけで子どもが変わる魔法の"ひと言"』(学陽書房)、『[タイプ別]子どものコーチング もう怒らない子育て』『3歳からは、ほめて、認めて、ちょっと叱る」(以上、PHP研究所)などがある。