「自立できる子」に育てるのは、子育ての大きな目標の一つです。では、そもそも「自立」とは一体何なのでしょうか。

 

 

自立の定義 周りの人に助けを求められる

 

そもそも「自立」とは、どういうことを指すのでしょうか?

広辞苑には、「他の援助や支配を受けず自分の力で身を立てること。ひとりだち」とあります。

皆さんも「子どもの自立」と聞くと、「自分のことは自分でできる」「自分でお金を稼いで生活する」といったイメージを抱かれる方が多いかもしれません。

確かにこれらは、自立のひとつの定義であると思います。しかし、それだけなのでしょうか?

あなたのこれまでの人生を振り返ってみてください。

「他の人の力をまったく借りずに生きてくることができた」と断言できますか?

できませんよね。

両親やきょうだい、学校の先生や近所の人、そして友人・知人......。さまざまな人たちの助けに支えられて、今のあなたがあるのではないでしょうか。

人間は、自分の力だけで生きていくことはできません。

ですから、本当の「自立」とは、「自分ができないこと、助けてほしいことを、素直に他人に言えること」だと私は考えています。

新生児仮死の後遺症により、脳性まひの障害を持ちながらも、小児科医、大学教授として発達障害の研究などに取り組む熊谷晋一郎さんも、ご自身の立場をふまえ、こうおっしゃっています。

「人間は、物であったり人であったり、さまざまなものに依存しないと生きていけないのです。一般的に、『自立』の反対語は『依存』とされていますが、自立というのは言うなれば、たくさんの依存なのです」

自立とは、たくさんの依存―まさにその通りだと思います。

子どものうちにたくさんの「困る経験」を重ねることが大切です。そして、自分が

困ったとき、困っていることをきちんと表明して助けてもらい、助けてもらったら

「ありがとう」と伝えること。これが大切なのです。そしてそれが、自立へとつながるのです。

ところが、今のお母さんたちは、子どもが忘れ物に気づく前にランドセルの中身をチェックして「リコーダー、忘れてたから入れといたよ」と声をかけたり、習い事の

送迎をすべてクルマで行い、子どもはお客さんよろしく、車内で悠々とゲームをしている......など、子どもが困らないよう何かにつけ先回りし、お膳立てしながら、「いい学校に行ってね」とハッパをかけている......。これでは、真の「自立」の意味をはき違えているように思えます。

自分でできることは自分でさせ、たくさんの「困る経験」をさせる。その中で、必要なときに「助けてください」と言えるようになることが、本当の意味での自立のポイントのひとつなのだと思います。

 

【本書のご紹介】

 

83914-1.jpg『脳科学からみた男の子の「ちゃんと自立できる脳」の育て方』

著者:成田奈緒子(子育て科学アクシス主宰)

 

脳科学からみた「男の子脳」の特徴を理解すれば、男の子の育てはもっとラクに楽しくなります! しつけ、学習、コミュニケーションなど、男の子の育てのコツをわかりやすく紹介しています。