個人差はありますが、幼少期の子どもでも、男女の「性差」は存在します。それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

男の子女の子

 

「すげえ」と崇められたい男の子

 

男女の性差。それは子どもが幼いときからすでにあります。

 

幼少期の男の子は、とにかくじっとしていません。危険なことに挑戦し、ぎりぎりセーフのスリルを味わうことを好みます。「誰が一番、高いところから飛び降りられるか」といった、ケガ寸前のところで競い合うのも大好きです。

 

好きな遊びは、戦いごっこ。鉄砲らしい形のものを見つけると、すぐに「バン!」と撃つ真似をします。

 

下品な言葉を言い放つのも好き。「うんち、おしっこ、ちんちん」などと言ってゲラゲラ笑っています。

 

マニアックなところも男の子の特徴です。山手線の駅名を全部覚えたり、ポケモンカードを全部そろえたがったり。消しゴムのカスをせっせと集めている男子生徒も、以前にいました。

 

「そんなつまらないものを集めても」という発想は、男の子にはありません。内容が何であれ、完璧に集め尽くすところに価値があり、男の子の間では一目置かれるのです。あいつが十グラムならぼくは二十グラムと、「すげえ」と言われたい一心でがんばります。

 

そう、男の子の世界で最高の勲章は、仲間に「すげえ」と崇められることなのです。

 

給食の牛乳で早飲み競争をし、「すげえ」と言われたがるのも男の子です。私が小学校のときには、びんを立てたまま飲める子がいて、「あいつは牛乳飲み神だ......」と尊敬されていました。女子から見れば「バッカじゃないの」という話でしょう。

 

こういった男の子の特徴は、どれも本質から来るものですから、一生続きます。大人の男性も、実はそういう面を隠し持っているのです。幼少期の男の子は、男性の特徴のすべてを一番素直に表現している存在だと見ていいでしょう。

 

お母さんたちは、そういう男の子を「かわいいけれど、わけがわからない......」と悩むものです。でも「夫は犬だと思えばいい」のと同じで、男の子はカブトムシか何かだと思えばいいのです。お母さん自身の常識にあてはめようとするのではなく、「そういうもの」としてかわいがる。それが幼少期の男の子を育てるコツです。

 

男の子の勉強面での特徴は、例外はあるし一概には言いきれませんが算数には興味を持ってとり組めるけれど、国語はどうも......という子が多いということです。女の子のほうが一般に言葉は早く、本や物語にもすっとなじめるので、どうしてもそう見えてしまうのです。しかし、男の子の国語力はあとから伸びてきますので、そこは安心して大丈夫です。

 

よく息子を読書好きにしなくてはと焦っているお母さんがいますが、男の子が本に目覚めるのは、少し遅めかもしれません。私が読書の楽しさに目覚めたのは、中学生のときでした。お母さんは心配などせず、その子のきっかけや時機が来るのを、ゆったり待ってあげていてください。

 

小さい頃は本より図鑑のほうが好きな男の子も多いでしょう。図鑑も大いにけっこうです。最近は非常に面白く編集された図鑑がたくさん出ています。

 

あとは、親が読書する姿を見せたり、読み聞かせを続けたりしていれば、自然に子どもは本に親しんでいくでしょう。

 

「かわいい」と注目されたい女の子

 

女の子の特徴は、まず、かわいいものが大好きだということです。幼少期から、リボンをつけたり、かわいい洋服を着たり、シールを集めたりするのが大好き。「かわいいね」と人から言われるのも好きで、見られるということを常に意識しています。男の子で「かわいい」と言われて喜ぶ子はあまりいません。

 

女の子は言葉が早く、コミュニケーション好きという特質を早くから現し始めます。「おままごと」でロールプレイを楽しんだり、便せんや折り紙にお手紙を書いたりするのも女の子ならでは。男の子が「うんこ、ちんこ」と言って笑っている間に、女の子はボキャブラリーをどんどん増やしているのです。

 

親しい友だちと内緒話をしたり、仲良しグループを作ったりするのも女の子です。そのグループ内で「この中でボス的な子は誰?」という嗅覚が鋭く働くのも特徴です。幼い頃から、人間関係の力学に敏感なのです。

 

「この子が中心人物になりそう」

 

「この子には逆らえない」

 

ということをパッと察知し、では自分はどう立ち回ったらいいのかを考えます。たまに、そういう世界がいやで孤立を保とうとする芸術家タイプの女の子もいますが、人間模様に敏感な点では変わりません。

 

このような女の子の特徴も、本質から来るものなので、一生続きます。大人になっても女性はよく職場やママ友でグループを作りますし、お互いの関係性には敏感です。初めて出会ったばかりの人と、何か共通点を見つけて会話を楽しむ能力も、男性より女性のほうがずっとすぐれています。

 

女の子の勉強面での特徴は、国語は得意だけど、算数はちょっと......という子が多いことです。女の子はその後も理数系の科目に悩む傾向があります。具体性のある歴史などの科目にはすっと入っていけるのですが、物理や数学など抽象性の高い科目は、えてして苦手。「Aの球体とBの球体が当たって、Cの方向へ行ったときに......」などという問題を読んでも、「へっ? それがどうしたの?」という感じで、そもそも興味を持てないのです。私の高校時代のクラスにいたある女子は、「物理は愛せない」と言っていましたが、まさにそういう感覚なのだと思います。

 

とは言え、女の子が理数系科目を伸ばしていくことは十分に可能です。幼少期から、「数独」「なぞペー」のようなパズルや、「Think! Think!」のようなアプリ、なぞなぞなどの遊びの中で、理詰めの思考を身につけさせていれば、算数が大得意な女の子にもなれるでしょう。

 

私が見てきた限り、女の子の算数ができない理由の圧倒的第一位は、「嫌いだから」でした。女の子の多くにとって、物事を判断する重要な基準は、好きか嫌いかなのです。女の子が「これは嫌い」と決めて、闇に封じ込めてしまうエネルギーというのは、きわめて強力です。そのために、伸びるはずのものも伸びなくなってしまう子が多いのは残念なことです。

 

そうならないようにするには、「嫌い」「苦手」と言って投げ出すのを、大人が許さないことです。

 

そしてお母さんは、「この子は算数が苦手だから」なんて、くれぐれも子どもの前で言わないこと。「おたくのお嬢さんは優秀で」なんて言われると、つい「いえいえ、この子は算数がだめで」と謙遜してしまうお母さんがいますが、子どもはそれを聞き、そのまま心に刻み込んでしまいます。幼いときのお母さんの声は、神の声と言っていいくらい重いことを、忘れないでいてください。 以上、男の子の特徴、女の子の特徴を書いてきましたが、もちろん個人差はあります。あくまでも、平均的にはこういう傾向がありますよという話ですので、あしからずご了承ください。

 

 


 

【本書のご紹介】

 

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『子育ては、10歳が分かれ目。』

著者:高濱正伸(たかはま まさのぶ)

「10歳からの子育て」こそ、子どもと親子の将来を左右する! 男女の違い、父母の役割り分担、子離れの仕方を説く、子育て本の決定版。