幼少期から「性差」はある~男の子・女の子の違いとは?

高濱正伸
2023.03.08 11:25 2023.03.08 11:25

「かわいい」と注目されたい女の子

鍵盤を弾く子ども

女の子の特徴は、まず、かわいいものが大好きだということです。幼少期から、リボンをつけたり、かわいい洋服を着たり、シールを集めたりするのが大好き。

「かわいいね」と人から言われるのも好きで、見られるということを常に意識しています。男の子で「かわいい」と言われて喜ぶ子はあまりいません。

女の子は言葉が早く、コミュニケーション好きという特質を早くから現し始めます。「おままごと」でロールプレイを楽しんだり、便せんや折り紙にお手紙を書いたりするのも女の子ならでは。男の子が「うんこ、ちんこ」と言って笑っている間に、女の子はボキャブラリーをどんどん増やしているのです。

親しい友だちと内緒話をしたり、仲良しグループを作ったりするのも女の子です。そのグループ内で「この中でボス的な子は誰?」という嗅覚が鋭く働くのも特徴です。幼い頃から、人間関係の力学に敏感なのです。

「この子が中心人物になりそう」
「この子には逆らえない」

ということをパッと察知し、では自分はどう立ち回ったらいいのかを考えます。たまに、そういう世界がいやで孤立を保とうとする芸術家タイプの女の子もいますが、人間模様に敏感な点では変わりません。

このような女の子の特徴も、本質から来るものなので、一生続きます。大人になっても女性はよく職場やママ友でグループを作りますし、お互いの関係性には敏感です。初めて出会ったばかりの人と、何か共通点を見つけて会話を楽しむ能力も、男性より女性のほうがずっとすぐれています。

笑う子

女の子の勉強面での特徴は、国語は得意だけど、算数はちょっと……という子が多いことです。女の子はその後も理数系の科目に悩む傾向があります。具体性のある歴史などの科目にはすっと入っていけるのですが、物理や数学など抽象性の高い科目は、えてして苦手。

「Aの球体とBの球体が当たって、Cの方向へ行ったときに……」などという問題を読んでも、「へっ? それがどうしたの?」という感じで、そもそも興味を持てないのです。私の高校時代のクラスにいたある女子は、「物理は愛せない」と言っていましたが、まさにそういう感覚なのだと思います。

とは言え、女の子が理数系科目を伸ばしていくことは十分に可能です。幼少期から、「数独」「なぞペー」のようなパズルや、「Think! Think!」のようなアプリ、なぞなぞなどの遊びの中で、理詰めの思考を身につけさせていれば、算数が大得意な女の子にもなれるでしょう。

私が見てきた限り、女の子の算数ができない理由の圧倒的第一位は、「嫌いだから」でした。女の子の多くにとって、物事を判断する重要な基準は、好きか嫌いかなのです。

女の子が「これは嫌い」と決めて、闇に封じ込めてしまうエネルギーというのは、きわめて強力です。そのために、伸びるはずのものも伸びなくなってしまう子が多いのは残念なことです。

そうならないようにするには、「嫌い」「苦手」と言って投げ出すのを、大人が許さないことです。

そしてお母さんは、「この子は算数が苦手だから」なんて、くれぐれも子どもの前で言わないこと。「おたくのお嬢さんは優秀で」なんて言われると、つい「いえいえ、この子は算数がだめで」と謙遜してしまうお母さんがいますが、子どもはそれを聞き、そのまま心に刻み込んでしまいます。

幼いときのお母さんの声は、神の声と言っていいくらい重いことを、忘れないでいてください。 以上、男の子の特徴、女の子の特徴を書いてきましたが、もちろん個人差はあります。あくまでも、平均的にはこういう傾向がありますよという話ですので、あしからずご了承ください。

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