もしわが子が誰かをいじめていたら、親は子どもとどう関わるべきでしょうか。

 

子ども

 

いじめない子になるには

 

「わが子がいじめに遭ったらどうしよう」と不安になる親御さんは多いと思います。しかし、いじめる側になるという可能性もあります。

 

体格の差が上下関係のようになってしまう場合もあります。特に体が大きくて言葉の発達が未成熟な子どもの場合、自分の感情を表現するのに物理的な力を使いがち。力の加減もわからないので、体の小さな子には大きな脅威となります。「手を出す」ということに対しては、絶対に許されない行為だと教え、衝動を抑える練習をしなければいけません。相手の気持ちを理解するということについては、小学校でもよく取り組まれています。学年が上の子どもが下の子どものお世話をするのも、そのひとつ。自分より未熟で力のない存在の世話を実際に体験して、「ありがとう」と言われたり頼られたりするうれしさや責任感を学ぶわけです。

 

低学年の時期は、いじめというほどの事例は少ないのですが、いじめの芽になりかねないサインは出てきます。代表的なのが言葉遣いの乱れです。男女ともに、気持ちが不安定になると言葉遣いが乱れてきます。不安定な気持ちを外に出そうとするんですね。

 

叱るのは、最もやってはいけない対応です。たとえばイライラしていることを叱るのではなく、イライラした時の対処法を一緒に考えてあげましょう。子どもが自信をもってやれることを思い切りやらせてみる。体を動かすのが好きな子なら思い切り体を動かせる時間をつくる。気持ちを切り替える方法をいくつかもっておきましょう。

 

10歳までに自分の感情と衝動をある程度は区別できる、そして「悲しい」「怒っている」と表現できる、さらに「どのくらい悲しいのか、怒っているのか」というレベルを自覚できればいいと思います。しかし、「良いか悪いか」という基準しかない子どもが意外に多いです。それは親が褒めたり叱ったりする時に「良い/悪い」が基準になっているからでしょう。もちろん良し悪しという基準も必要ですが、「なぜ良いのか(なぜ褒めるのか)」「なぜ悪いのか(なぜ叱るのか)」という理由も一緒に伝えてほしいと思います。理由を知らされないまま一方的に叱られ続けていると、親との信頼関係は失われてしまい、やがて親の言うことを聞かなくなります。

 

人をいじめるのは、自分に自信がない証

 

ここまで書いてきたことを前提に、いじめない子になるにはどうすればいいのかを考えましょう。まず、人をいじめるのは何らかのフラストレーションがあり、イライラしているからです。先ほど書いたように、イライラして不安定な気持ちを外に出そうとし、それが「いじめ」という形で出てしまうんですね。しかし本当は自信をなくしている状態です。人を蔑さげすむことで自分の価値を何とか上げようとしているのです。

 

自信をなくしている理由はさまざまでしょう。何かあったのかもしれないし、日頃から「あなたはダメだ」というメッセージを受け続けているのかもしれません。とにかく、自信をつけさせることが必要です。そして親が子どもを認め、褒めてあげることは何よりの自信になります。しかし口先だけでいくら褒めてもダメです。何でもかんでも「すごいね」ではなく、本当にがんばることができたことについて気持ちを込めて褒めてあげてください。これは小さい頃からの積み重ねです。何か問題が起きてから慌てて褒めても、子どもはすぐには変わりません。時間がかかるのは覚悟しつつ、子どものがんばりをていねいに褒めていけば、少しずつ自信を取り戻していくでしょう。

 

いじめの首謀者でなくても、結果的に加担してしまうことがあります。むしろこういう立場の子どものほうが圧倒的に多いです。「あいつを無視しよう」と言われた時、断るのはとても難しい。大人でも同じです。ただ、あらかじめ練習しておけば、できないことではありません。断る力を身につけておくのです。そして、ここでもやはり自分に自信があるかどうかがポイントです。本当の意味での自信がついていれば、「こんなことをする子と無理につきあう必要はない。自分には他に友だちがいる」と考えられます。いじめない子になるには、まず自分に自信をもてること。しっかり子どもを見て、タイミングを逃さず褒めてあげてください。

 

 


 

【本書のご紹介】

 

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『子どもが友だちで悩まないために10歳までに親がすべきこと』

著者:有光興記(コルネット主宰)

「わからないことの聞き方を教える」などのロールプレイ法から「新しいクラスで友だちを見つけるには?」などの困りごとへの対処法まで、子どもの友だち関係をサポートする方法を紹介しています。

 

【著者紹介】

有光興記(ありみつ・こうき)

1971 年兵庫県生まれ。関西学院大学文学部総合心理科学科教授。博士(心理学)、臨床心理士。カウンセリングや認知行動療法、マインドフルネスをベースに、発達障害の子へのソーシャルスキルトレーニングを実践している。監修書に『発達障害の子のコミュニケーション・トレーニング』『発達障害の子の「イライラ」コントロール術』『発達障害の子の「友達づくり」トレーニング』『発達障害の子の「励まし方」がわかる本』(以上、講談社)がある。