いじめない子になるには

有光興記
2023.10.13 16:02 2023.02.15 14:46

ブランコに乗る子ども

もしわが子が誰かをいじめていたら、親は子どもとどう関わるべきでしょうか。

※本稿は、有光興記著『子どもが友だちで悩まないために10歳までに親がすべきこと』(PHP研究所)の中から、一部を抜粋・編集したものです。

有光興記(関西学院大学文学部総合心理科学科教授)
1971年兵庫県生まれ。関西学院大学文学部総合心理科学科教授。博士(心理学)、臨床心理士。カウンセリングや認知行動療法、マインドフルネスをベースに、発達障害の子へのソーシャルスキルトレーニングを実践している。監修書に『発達障害の子のコミュニケーション・トレーニング』『発達障害の子の「イライラ」コントロール術』『発達障害の子の「友達づくり」トレーニング』『発達障害の子の「励まし方」がわかる本』(以上、講談社)がある。

いじめない子になるには

頭を抱える男の子

「わが子がいじめに遭ったらどうしよう」と不安になる親御さんは多いと思います。しかし、いじめる側になるという可能性もあります。

体格の差が上下関係のようになってしまう場合もあります。特に体が大きくて言葉の発達が未成熟な子どもの場合、自分の感情を表現するのに物理的な力を使いがち。力の加減もわからないので、体の小さな子には大きな脅威となります。

「手を出す」ということに対しては、絶対に許されない行為だと教え、衝動を抑える練習をしなければいけません。相手の気持ちを理解するということについては、小学校でもよく取り組まれています。

学年が上の子どもが下の子どものお世話をするのも、そのひとつ。自分より未熟で力のない存在の世話を実際に体験して、「ありがとう」と言われたり頼られたりするうれしさや責任感を学ぶわけです。

低学年の時期は、いじめというほどの事例は少ないのですが、いじめの芽になりかねないサインは出てきます。代表的なのが言葉遣いの乱れです。男女ともに、気持ちが不安定になると言葉遣いが乱れてきます。不安定な気持ちを外に出そうとするんですね。

叱るのは、最もやってはいけない対応です。たとえばイライラしていることを叱るのではなく、イライラした時の対処法を一緒に考えてあげましょう。

子どもが自信をもってやれることを思い切りやらせてみる。体を動かすのが好きな子なら思い切り体を動かせる時間をつくる。気持ちを切り替える方法をいくつかもっておきましょう。

10歳までに自分の感情と衝動をある程度は区別できる、そして「悲しい」「怒っている」と表現できる、さらに「どのくらい悲しいのか、怒っているのか」というレベルを自覚できればいいと思います。

しかし、「良いか悪いか」という基準しかない子どもが意外に多いです。それは親が褒めたり叱ったりする時に「良い/悪い」が基準になっているからでしょう。もちろん良し悪しという基準も必要ですが、「なぜ良いのか(なぜ褒めるのか)」「なぜ悪いのか(なぜ叱るのか)」という理由も一緒に伝えてほしいと思います。

理由を知らされないまま一方的に叱られ続けていると、親との信頼関係は失われてしまい、やがて親の言うことを聞かなくなります。

有光興記

有光興記

1971年兵庫県生まれ。関西学院大学文学部総合心理科学科教授。博士(心理学)、臨床心理士。カウンセリングや認知行動療法、マインドフルネスをベースに、発達障害の子へのソーシャルスキルトレーニングを実践している。監修書に『発達障害の子のコミュニケーション・トレーニング』『発達障害の子の「イライラ」コントロール術』『発達障害の子の「友達づくり」トレーニング』『発達障害の子の「励まし方」がわかる本』(以上、講談社)がある。