家庭内の会話がどういうものかによって、親子はもとより夫婦、姑との関係は良くも悪くもなります。そして家庭内の人間関係が良好だと、その家庭は明るく幸せに満ちたものになるのではないでしょうか。

 

女の子

 

子どもの心がしぼまないように

 

思ったときに、思ったことを何でも言える自由な雰囲気のある家庭環境で育った子どもは、目を輝かせ、自分に無心で、個性豊かでイキイキとしています。

子どもはひらめきで、想像力を膨らませて話しますから、そんなとき、お母さんはちょっと手を休めて、子どもの話に耳を傾けましょう。相づちを打ちながら「楽しそうだね。すごいね。そんなこと知ってるんだ。さすが頭いいね」と言ってあげると、子どもは気持ちをわかってくれて嬉しい、と満面、笑顔になります。そんな聞き上手なお母さんは、子どもと会話のキャッチボールを楽しめます。

ところが、子どもが話し始めたとき、「えー、ウソー。本当? 信じられない。何を言ってるの? そんなことより手を洗ったの?」などと言ってしまうと、その心ない言い方で会話が途切れてしまい、子どもの心の風船はしぼんでしまいます。

子どもはただ話したいだけ、聞いてほしいだけなのです。話を聞いてくれているということは、自分は受け入れられているということ。その安心感で子どもの心は満たされるのです。

ほかにも次のような言葉をつかっていませんか? お母さんの話し方、聞き方次第で、子どもは友だちとの関係も上手になっていきます。

安心感は、すべてのやる気の源なのです。

 

【NGワード9】

1 恥ずかしいでしょ

2 そんなこと言うと友だちに嫌われるわよ

3 おもちゃ片づけないと全部捨てるよ

4 え~とえ~とはいいから早くしゃべりなさい

5 どうして早くできないの?さっさとしなさい

6 すぐ泣かないの!

7 お父さんに言うからね

8 言うこときかない子は知りません

9 夕ごはん抜きにするよ

 

子どもとのNG会話

 

新幹線に、お父さんに抱っこされた幼い子とお母さんと、5歳くらいの女の子の家族連れが乗車してきました。お母さんの手には、駅弁が入っているらしき袋があります。電車が発車すると、

 

母「お菓子ばっかり食べていると、お弁当が食べられなくなるよ」

姉「お弁当、食べた〜い!」

母「まだ早い。幼稚園では遊びの時間でしょ」

妹とケンカを始めたようです。すると、

母「仲よく! ダメ! 仲よくしなさい」

姉「お母さん、お弁当いつ食べるの?」

母「電車おりてから」

姉「イヤだー。電車の中で食べたーい」

母「幼稚園では11時半に食べてるでしょ」

姉「イヤだ~。食べたい」

 

と言って泣き出しました。

 

母「次の駅に着いたら」

姉「食べたい」

母「じゃあ50数えたら。数えた?数えた?」

姉「食べたい」

母「次の駅を出発したら」

姉「食べたい」

母「わかった。うるさい」

 

そして、家族連れは静かに食べ始め、次の駅で下車していきました。

 

【ささやかな要求を無条件で受け入れてみましょう】

その様子を見ていて、「あらあら。条件付きの会話では、お弁当も旅行も楽しめていないのではないかしら?」と思いました。幼い子どもを連れての外出は、たしかに周りに気をつかいます。

でも、子どもが「お弁当、食べた~い」と言ったとき、言い方を変えて次のように言うとどうでしょうか。

「そうね、食べようか。〇〇ちゃんはどれ食べる? お父さんはこれね。お母さんは、これを食べようっと。毎日がんばっているごほうびだね。〇〇ちゃんのお弁当、おいしい? お母さんのお弁当もおいしいよ。電車の中で食べるのもいいね」と。お母さんのリードで会話がいい雰囲気になりますね。

子どもは、「お弁当を食べたい」というささやかな要求を無条件で受け入れてもらえた嬉しさと幸せを感じます。そして、お腹も心も満足して楽しい旅行の思い出になります。

 

夫とのNG会話

 

子育ては夫婦2人で力を合わせてするものだから、夫にも子どもの日常を知っていてもらわないといけないと思って、子どもの良いことも悪いことも話したくなります。悪さをしたことなどは、とくに話したくなりますね。

たとえば、「今日はお昼寝をしなかったのよ。スーパーマーケットで走り回って店員さんに注意されたの......。公園へ行ってもお友だちと遊ばなかったの」などなど、感情も多々入って「お父さん、なんとか言ってよ」と。夫の本音は「ぼくは見ていなかったからなんとも言えないよ......」。これでは、会話をしているつもりがいつしか夫婦げんかにエスカレートしかねない状況です。そして、それを聞いている子どもは居心地が悪いでしょう。

 

【ねぎらいの言葉をかけてもらいましょう

日頃から夫に「毎日ご苦労さま。今日も大変だったでしょ」と優しい言葉をかけていると、夫からもがんばっている妻に「よくやってるな。大変だな。家事もよくやってくれて、子どもたちも元気で子どもらしい利発な子に育っているよ。お母さんのおかげだよ。ありがとう」と。ねぎらいの言葉があると、子育ての疲れがスーッと軽くなりますよね。そんな会話を聞いている子は安心し、癒やしと安らぎのある家庭をもたらすのです。

 

親・姑とのNG会話

 

子育ては両親の領域です。

でも、孫可愛さにあれこれ世話を焼いたり、娘(嫁)の子育てや孫のことを全部知って安心しておきたいという親や姑がいます。

そして、気をつかって日頃の様子を報告したり、孫の顔を見せに行ったり、行事に誘ったり......していませんか?

親や姑に会ったとき、子ども(孫)の話題が会話がいちばん弾むのですが、気をつけたいことは、子どもの欠点や短所、失敗は言わないことです。

言ってしまうと、あなたの言葉を通して孫のことを見てしまうからです。すると、孫に会ったとき「〇〇くん、買い物に行ったとき迷子になって叱られたんだってね」などと安易に話したりし、子どもは「なぜ知っているの?」と疑問に思ってしまいます。

 

【親や姑には子どものいい話をしましょう】

特に久しぶりに会った親や姑の前では、子どものいいことを話題にしたいものです。子どもに聞こえないようにひそひそと欠点や短所、失敗を話していると、子どもは「もしかしてボクのこと話してるのかな?」と聞き耳を立てて、気が休まらないかもしれません。

どのようなときも、どのような人の前でも、お母さんはわが子の味方になるような会話を心がけましょう。親や姑とは、お互いほどよい距離感を保てる関係がいいですね。

 


 

「PHPのびのび子育て」 1月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2019年1月号特集【子どもの「弱点」を「長所」に変える お母さんの言葉】より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】

高柳静江(たかやなぎ・しずえ)

新家庭教育協会理事。1983年に、新家庭教育協会の初代理事長であった故・山﨑房一氏に出会い、師事。以後、その教えを継承し、母親心理学講座などの講師を務める。講演・カウンセリング等で活躍中。