何度注意しても忘れるのはなぜ!? ……その理由、実はとてもシンプルなのです。

 

子ども

 

忘れ物を繰り返すわけとは

 

子育て相談の人気テーマ「なぜ子どもたちは忘れ物をするのか」について考えてみましょう。

 

毎日のことなのに、名札を忘れる、体操服を忘れる、教科書を忘れるなどなど。お母さんたちからカウンセリングの中でそんな忘れ物の愚痴を聞きます。

 

これ、答えはカンタンです。

子ども自身が忘れ物に対しての不利益を、実体験として積み重ねていないからです。

 

名札を忘れそうになっても親が教えてくれる。体操服を忘れてもお母さんが走ってもってきてくれる。教科書を忘れても先生が叱らずに貸してくれる。先生からの指導もない。このような安心感が日常化してしまうと、忘れ物をしたことをいくらお母さんが毎日青筋立てて怒っても、何度も繰り返してしまいます。たとえば......、

 

名札を忘れる→恥をかく

体操服を忘れる→好きな体育ができなかった

教科書を忘れる→叱られる、困る

 

などの不利益を経験できる環境であれば、たとえ子どもは忘れ物をしたとしても次回からは、「もう、あんな思いをしたくないからちゃんと確認しよう」という意識をもちます。

ゆえに私は親御さんたちに「子どもが忘れ物をしていても見て見ぬふりをしたほうがいいですよ」とアドバイスをします。

親も忘れ物をしないようにいってくれないわけですから、忘れ物を繰り返す中でより忘れ物を「自分に不利益を与えるもの」と子どもは意識できるわけです。

忘れ物が多い子どもの分析をすると、「親が覚えててくれるからいいや」という甘えがあるケースがよく見受けられます。でも多くの親御さんは子どもに失敗させたくないからついついいってしまう。

たとえば小学三年生の子どもに、「今日は雨が降りそうだから傘をもっていきなさい」と雨に濡れるリスクを回避させるために傘をもたせる対応は、子育ての目標につながる対応でしょうか。

私は、そのような対応は目標にそわない対応だと考えます。

なぜなら、親が判断してただ伝えるだけの対応を日々積み重ねてしまうと、子どもは自分で天気予報を見たり、空模様から判断したりすることはせず、親に頼ることになるでしょう。

傘を忘れて大雨に見舞われた時、親のせいにする子になってほしいと思っているでしょうか。それとも自ら天気予報や空の様子から判断できる子に育ってほしいでしょうか。

そうしたことからでも、自分の行動に責任をもつことで人のせいにしない子に育てていくことにつながるのです。

傘をもっていくかどうかの判断を子どもにゆだね、結果的に傘をもっていかずに濡れて不快な思いをすれば、次の曇り空の時には自己判断で傘をもっていくかもしれません。

極端な話のように聞こえるかもしれませんが、そのような経験を積み重ねれば、親がいなくとも、自分で判断して行動できる人に育つでしょう。

なぜなら、自ら下した判断を人のせいにはできないからです。

本当の子育ての失敗は自立させられないこと。その大原則を忘れてはいけません。どんどん失敗をさせて、利益も不利益も経験させてやって、その積み重ねによって子どもの年相応の自立を目指してほしいと私は思っています。

忘れ物に関しては、親のどんな働きかけよりも、不利益のある結果を経験させることが大切です。

 


 

【本書のご紹介】

 

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『子どもには、どんどん失敗させなさい』

 

その親の一言、子どものやる気を削いでしまっていませんか? わが子に「自信」と「自己肯定感」をつける親の言葉、行動を紹介する。

 

 

【著者紹介】

水野達朗(みずの・たつろう)

家庭教育支援センター・ペアレンツキャンプ代表理事。

家庭教育・子育て支援の専門家として、子育てで悩みを抱える多くの親や、今よりももっと子育てを楽しみたいという親の思いに寄り添いながら支援をしている。また、不登校の復学支援カウンセラーとしても、見守るだけの支援とは一線を画する積極的に関わる手法で多くの不登校の子どもたちを学校復帰へと導いている。水野式の家庭教育支援メソッドである「PCM(= Parents Counseling Mind)」を構築し、全国の親と子をサポートしつつ、講演会も精力的に行っている。現在はペアレンツキャンプの代表理事を務めるともに文部科学省の家庭教育支援手法等に関する検討委員会や大東市教育委員会教育委員を歴任し、個々の家庭にとどまらず、国や地域の子育て支援にも注力している。