親からの5つの問いかけで、子どもの頭脳は賢くなります。

 

親子

 

考える力が身につく会話=読解力を高めるための会話

 

「考える頭脳」をつくることで、考える楽しさを知ることができます。

しかし、多くの子どもたちは、日常この考えるという絶好の機会に恵まれることが少なく、それが知的好奇心の芽生えを阻んでいることが少なくありません。それはなぜかというと、ある"問いかけ"がされないからです。そのある"問いかけ"をされないと、人は考えることをしないからです。

それを私は「頭脳のスペックをバージョンアップさせる5つのマジックワード」と呼んでいます。通称、これらが「賢い頭脳をつくる問いかけワード」です。

勉強ができる子たちは、これらの問いかけを自らに問うことができるのです。自問自答しているのです。これが頭脳のスペックが高い子の正体です。中学受験においては、このスペックが偏差値と連動しているといっていいでしょう。

しかし、多くの子どもたちは、勉強自体がつまらないもの、やらねばならないことであると感じているため、自問することすらしません。

そこで、周囲の大人(指導者や親)がこのような問いかけをしてあげることで、自然と考える習性が身につくというものです。この「自然と」という部分が大切です。特に、勉強に対して義務感や、倦怠感、否定的見方を持っている子には、勉強以外の分野での会話で使うといいでしょう。

そうすることで、物事全般にわたって、「考える」という習慣ができるようになります。これができると、勉強も生活の一部であるため適応していくということです。

 

では、その5つのマジックワードをご紹介しましょう。

 

「要するにどういうこと?」

「例えばどういうこと?」

「他にはどんなことがあると思う?」

「なぜだと思う?」

「どうすればいいと思う?」 

 

この5つの問いかけを普段の何気ない会話の中でしてあげるといいでしょう。そうすると、問われた子どもは自然と、頭が動き出し考える力と、ついでにクリエイティブな感覚が身についていくようになります。

 

それではこの5つの言葉について説明しましょう。

 

【1】「要するにどういうこと?」

 

(類似した問い:「ひと言で言うと何?」「簡単に言うと何?」)

これは、具体的な内容をまとめさせるときに使います。

子どもの話は、結構個別具体的なことが多いですね。見たまま、経験したままを話す傾向にあるので、「要するに?」と言って簡単にまとめさせるのです。これは国語の読解力問題や要約問題でも威力を発揮します。

 

【2】「例えばどういうこと?」

 

(類似した問い:「例をあげるとどんなこと?」「過去に経験したことで言うと何に似ている?」)

これは、抽象的な内容を、わかりやすく具体的に説明させるときに使います。子どもが何か漠然としたことを言った場合、「例えば?」と聞いてあげましょう。すると、相手にわかりやすく伝えるための具体例を考えるようになります。

 

「要するに?」⇔「例えば?」の関係は、抽象⇔具体の往復をさせることなのです。これだけで、とてもわかりやすい話ができ、論理的になっていきます。

ついでにお話すると、いわゆる賢い子は、話の抽象度の高いことが理解できる子なのです。このように具体⇔抽象をやっていると、自然と国語の読解力が高まっていくというおまけまでついてきます。

抽象度という難しい言葉を使いましたが、抽象度が高いとは、こういうことです。ものごとを上から俯瞰的に観ることができる高さのことです。もっとわかりやすくいうと次のようなことです。

 

木村さん家のチワワ、山田さん家のチワワは、この段階であれば抽象度が低く(具体的)、このような段階では、「うちのチワワが可愛い」とか比較・争いが起こります。しかし、これを一段上に抽象化すると、「チワワ」というカテゴリーになります。つまり同じチワワということです。しかし、今度は石川さん家のトイプードルが登場します。するとまた、比較・争いが生まれます。しかし、抽象度をあげてみると、どちらも「小型犬」というカテゴリーです。つまり、木村さんも石川さんも「小型犬」という同じカテゴリーの犬を飼っていることになります。このようにして、上に上がっていくことを「抽象度が上がる」といいます。すると、上から見ると下にある「同じ部分(共通部分)」と「違う部分」がよくわかるようになるのです。

しかし、抽象度が低いと、違いしか見えず、いつまでも共通部分(コツ)がわからないのです。勉強でいえば、抽象度が低い子は、問題集にある問題はすべて違っている問題と認識し、抽象度が高い子は、全体の共通部分をつかむため、勉強が楽なのです。この抽象度を上げたり、下げたりできる人のことを一般に「賢い人」というのです。ですから、そのために、「要するに?」「例えば?」という問いかけをしてみるといいでしょう。

 

【3】「他にはどんなことがあると思う?」

 

これは、話題を水平展開させるときに使います。話があまりに抽象的すぎるときには「例えば?」と聞いて具体例が出てきますが、ひとつだけでなく、他にもあるかどうか聞いてみましょう。これはボキャブラリーを増やすことや発想力を高めることにつながります。

 

【4】「なぜだと思う?」―Why ?

 

この言葉は、理由や背景を考えさせるときに使います。

ロジカルシンキングでは、「なぜ?」は非常に重要なキーワードです。これまで、私は、この「なぜ?」という言葉を使って、子どもたちの考える力をつけてきました。

考える頭脳をつくる上で最も重要な言葉です。「何? what」「誰? who」「いつ? when」「どこで? where」や選択肢問題の「どっち? which」という問いは、学校ではよくされます。

しかし、「なぜ? why」という問いはほとんど教育現場ではなされないのが現実です。この「なぜ?」という問いこそが、勉強で最も面白い部分であるにもかかわらず。もったいないことです。

 

【5】「どうすればいいと思う?」―How ?

 

これは方法を問う言葉です。「では、どうすればいい?」と聞かれて、はじめてクリエイティブな力が出てきます。または、「あなたはどうしたいの?」と聞けば、他人事から自分事になります。

ロジカルな世界では、分析や表現ばかりが強調されがちですが、「では、どうすればいい?」と問うて、ポジティブな未来へと誘導してあげることで、より実践性が増してきます。未来と現実をつなげるための、唯一の言葉です。このマジックワードは勉強の場面以外でも、実生活でも役に立つことでしょう。

 


 

【本書のご紹介】

 

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中学受験に合格する親子の「魔法の会話」

 

勉強しろ、と言わなくとも子どもが自ら積極的に勉強するマジックワードが満載。毎年2500人以上の相談を受けてきた著者の実例を開陳。

 

【著者紹介】

 

石田勝紀 (いしだ・かつのり)

 

教育評論家。20歳で起業し、学習塾を創業。その後、中高一貫私立学校の常務理事に就任し、大規模な経営改革を実行するとともに教師の指導力を高める。講演会や企業での研修会は毎年150回以上にのぼる。教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。