【子育て体験談】育休後に復帰したけど…

読者からの体験談

育児休暇が明けて、仕事に復帰。時短勤務にできずに通常勤務で残業も当たり前。子どもは20時まで保育園に預け…。

※本記事は『PHPのびのび子育て』(2014年2月号)に掲載され、WEBサイト「PHPファミリー」にて一部抜粋・編集の上で公開されたものです

大切なこと

看護師として働く私。でも少し辛いことが続き、看護師を続けていけるかどうか不安を感じていた矢先に、妊娠が判明した。

1年間の育児休暇を得て、その間に気持ちを切り替えることができ、やはり看護師を続けていきたいと考えられるようになった。その1年間は、子どもが私にくれた、大切な時間だった。子どもとずっと一緒に過ごすことができた幸せな時間だった。 

育休後は正社員として病棟勤務に復帰。時短勤務をとりたかったけれど、上司からのプレッシャーと、周囲の目が気になって平常勤務となり、残業も当たり前だった。

それでもはじめは、がんばろうと気を引き締めて業務にあたっていた。 しかし勤務が終わるのは20時近くで、子どもは延長保育。子どもも毎日、朝の8時前から20時まで保育園で過ごしていると疲れてしまい、家に帰るころには、眠くてグズってしまう。
 
頭ではわかっていても、グズる子どもを見て、心の余裕がない私はイライラしていた。

働きはじめて3カ月が経った。仕事にも慣れてきて、さらに任される仕事量が増えた。

私の疲れもピーク、子どもの疲れもピークだった。

子どもは家に帰ってご飯を用意しても、眠くて食べられず、風呂にも入らずに眠ってしまう。寝てしまった子の体を私が暖かいタオルで拭く。そんな日が続いた。

早く仕事を終わらせたいというあせりで、仕事に集中できなくなってきた。仕事中なのに、子どものことが気になって涙が出ることもあった。

「もう、仕事を辞めよう」

そう考えるようになった。

そんな時、子どもを持つ同じ職場の人が、何も言っていないのに、私の顔を見て突然、「大丈夫?」と声をかけてくれた。ただ声をかけられただけなのに、涙があふれた。

「仕事は大切だけど、看護師の代わりはいても、ママの代わりはいないんだよ。ママが楽しく働く姿を見せられないなら、辞めたほうがいいよ」
と、その人は私の話を聞いて話してくれた。

そこではじめて、自分がなんのために働いているのかを考えた。

その日の夜、子どもを見ていて、すごく申しわけない気持ちになり、泣いてしまった。久しぶりに、声をあげて泣いた。まだ、1歳半の子どもは私に近づき、ギュウッとしがみつき、トントンと頭を撫でてくれた。こんなに小さいのに、なんのことだか分かっていないはずなのに、こんなに頼りないママなのに、いつの間にかすごくやさしい子に育ってくれていた。

この子のためにがんばろうと思えた。私のところに生まれてくれた、この子を大切に育てていこうと決めた。

私は、少し強くなった。

職場に子どもとの時間も大切にしたいと伝えた。すると、みんなすごく協力してくれた。夫も私のことを今まで以上に支えてくれるようになった。

今はほんとうの意味で子どもと向きあって、時間を過ごせるようになった。これからも私は看護師として、同時に、子どもにとってたった1人の母親として、がんばっていこうと思う。

(藤原成美、東京都)