短所ばかり見ていませんか? 親の「目線」が子どもの性格を決める!

榎本博明

子どもの短所が気になるときは、くもった心のフィルターを通して、わが子を見つめてしまっているのかもしれません。

※本稿は『PHPのびのび子育て』2013年9月号に掲載されたものを一部抜粋・編集したものです

【著者紹介】榎本博明(えのもと・ひろあき)
1955年生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在、MP人間科学研究所代表。主な著書に、『伸びる子どもは○○がすごい』『勉強できる子は○○がすごい』(以上、日経プレミアシリーズ)、『教育現場は困ってる』(平凡社新書)、『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「さみしさ」の力』(以上、ちくまプリマ―新書)『「やさしさ」過剰社会』(PHP新書)などがある。

子どもの性格をつくる3つの要素

大きくこの3つが、子どもの性格に影響を与えています。

1. 素質:生まれ持った性格
最新の研究成果からも、性格の基礎のかなりの部分が遺伝で決まることがわかっています。「うちの子はなんであの子みたいにできないの」と、積極的に他の子をみてイライラする親もいますが、素質の違いは無視できません。

2. 発達期待:親の要望・期待
「素直な子になってほしい」「やさしい子になってほしい」などといった期待を“発達期待”と言います。幼い子にとって親というのは絶対的存在です。親に褒められたくて、子どもは必死に期待に応えようとします。

3. モデリング:親の真似
教えていないのに親の癖を子どもが真似るものです。ぼやき癖が似たり、人のせいにするところが似たり。誰かの真似をすることで、その行動パターンを身につけることを“モデリング”と言いますが、母親は最も身近なモデルです。


わが子の性格の短所が気になってしようがない。何とか改善させたいのに、どうにも変わらなくてイライラする。それは多くの親が抱える共通の思いです。

もっと落ち着きのある子になってほしいのに、乱暴に動き回って困る。いろんな友だちと遊べる子になってほしいのに、引っ込み思案でなかなか友だちができなくて心配。積極的な子になってほしいのに、ウジウジして消極的なので歯がゆくて仕方ない…。

子どもには生まれ持った素質があり、意思もあるので、なかなか親の思い通りには育ってくれません。そこで問われるのが、親の姿勢です。あなたがどんな視点を持っているかで、子どもの性格形成は大きく左右されます。