親がガミガミ言うと、子どもはその後どうなる?
子どもに対し、つい感情的に怒ったり、口出ししたりしてしまうことは誰にでもあるもの。でも、それが頻繁だと、子どもから大事なものを奪ってしまいます。
※本稿は、『PHPのびのび子育て』2020年10月号より、一部を抜粋編集したものです。
立石美津子(たていし・みつこ/子育て本著者・講演家)
聖心女子大学卒業。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後、20年間、学習塾を経営。現在は執筆や講演を中心に活動。自閉症児の母。著書に、『1人でできる子になる「テキトー母さん」流 子育てのコツ』(日本実業出版社)など多数。
子どもは1人の人間という自覚を
よその子にはガミガミ言わないのに、我が子だからこそ良かれと思ってつい口やかましくなってしまう。「子どもがどんな大人になるのかは親の責任、いい子に育てなくちゃ、だからいいママにならなくちゃ」というプレッシャーに、がんじがらめになっているのかもしれませんね。
でも、こうして理想を追い求めていると、ガミガミママになってしまいます。ガミガミ言うことで、親の顔色ばかり気にしたり、親の指示がないと動けない子になったり、常に親子ともにストレスを感じていたら、かえってよくない結果になってしまうかもしれません。
子どもはお腹に宿った時点で親の所有物ではなく、1人の人間です。叱る回数が増え、口出しや手出しが過度になると、子どもの自主性、自信を奪ってしまうことになりかねないのです。
ガミガミが子どもから奪うもの
親が常日頃、子どもに口うるさく言っていると、こんな子になってしまう可能性があります。
【1】自分で考えなくなる
「ヘリコプターペアレンツ」という言葉を知っていますか? 子どもが失敗しないように頭上で旋回して監視する過保護・過干渉の親を皮肉った言葉です。
登校前に「あれ持った? これ持った?」と何度も確認し、ガミガミ注意する。筆箱を忘れたときは「困っているのではないか」と思い、学校に届けてしまう。すると子どもは、忘れても「ママが届けてくれるから大丈夫」と思うようになります。
反対に届けなければ、
●忘れ物に気をつけるようになる。
●ピンチに陥り「先生、鉛筆貸してください」とSOSを出せるようになる。
●代用品を何とか自分で考える(自分が忘れ物魔だと自覚して、置き傘のように置き筆記用具まで準備する知恵がつく)。
●「私(僕)の貸してあげる」と親切にされ、「友だちを大切にしよう」と思う。この体験で「自分も誰かを助けてあげよう」と思う。
成長のチャンスです。
また、ケンカになる前から「仲良く遊ぶのよ」と釘を刺すのも、社会性やコミュニケーション力を伸ばす絶好の機会を奪うことになります。
【2】短所を見つけるのが得意になる
ガミガミの内容は、たいてい子どもができていないことです。たとえば、玩具を片づけているときもあるのに、親は無言。でも散らかしているときは「なんで片づけないの」。食事の好き嫌いをしたとき、食べたものもあるのに、残したものだけにスポットを当てて、つい叱ってしまう。
親って子どものできていない部分を見つける天才ですね。 でも、欠点ばかりを指摘されたら、自信がなくなってしまいます。将来、自身に対して低い自己評価しかできない大人になってしまうかもしれません。叱るのと同じ量だけできていることを認めましょう。また、欠点は見方を変えると長所です。
× 落ち着きがない→〇 好奇心旺盛
× だらしがない→〇 神経質ではない・おおらか
× おとなしい→〇 協調性がある
× グズ、のろま→〇 丁寧・慎重に生きている
× 偏食→〇 舌が繊細で味がわかる
目先のことだけにスポットを当てると短所に見えることも、将来、強みになります。