父親との会話が子どもの学力を伸ばす

清水克彦

頭がいい子は、父親といい関係を持っている事が多いのはご存じですか?子どもの話を聞き出し、「パパは自分のことをわかってくれている」という思いが芽生えさせることが大切だといいます。
どのような声掛けが必要なのか、清水克彦さんの著書『頭のいい子が育つパパの習慣』の一節をご紹介します。

※本稿は『【イラスト版】頭のいい子が育つパパの習慣』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。

定時に帰り、1週間に3回は家族で食卓を囲もう

ここに、大変興味深いデータがあります。広島県や島根県などの小・中学生を対象に、広島大学の山崎博敏教授らの研究グループが行った調査の結果です。

家庭環境が小学生の学力に与える影響
(2005年11月に小・中学生を対象に実施した調査から抜粋)

Q:夕食をひとりで食べることがあるか?
まったくない…偏差値48.9
あまりない…偏差値49.23
ときどきある…偏差値48.28
よくある…偏差値44.88

このデータは、子どもがひとりで夕食を食べている家庭では、子どもの学力が低いことを物語っています。親子でさまざまな会話をしながら食卓を囲む習慣は、子どもの学力アップにつながるのです。

全国でトップレベルの東京大学合格者数を誇る開成学園の元理事長である加藤丈夫氏は、こう述べています。

「子どもの学力を伸ばすには、家族との対話が不可欠。そのためには、父親が定時に会社を出て家庭に帰ることです。当学園に入学してから伸びるのは、父親ときちんと対話の時間が確保されている家庭のお子さんです」

また、百ます計算で知られる立命館大学教授で立命館小学校校長顧問の陰山英男氏も、同様に語ります。

「夕食を囲む家族団らんのひとときを、週に1回でも取り戻してください。中学でも学力が伸びているお子さんは、父親の支えがあるケースが多いのです」

なお、子どもの話を聞き出すには、「子どもに長く話してもらう」「子どもをのせる相づちを打つ」ことに注意してください。まずは子どもの話す内容をじっくり聞くこと。

特に、子どもが興奮して話してきたことには耳を傾けてください。興奮して話をしている状態とは、脳の前頭連合野が活発に動き、子どもの頭が良くなっている瞬間なのです。

そして、相づちのポイントは「さしすせそ」を上手に挟むことです。

さ…さすが
し…信じられない
す…すごい
せ…せっかく
そ…そのとおり

父親がこれらを巧みに使えるようになれば、子どもには「パパは自分のことをわかってくれている」という思いが芽生え、何でも話すようになるはずです。

【著者紹介】清水克彦(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師)
1962年、愛媛県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。京都大学大学院博士課程在学中。文化放送の報道デスクを務めながら、執筆や講演を行なう。著書に、最新刊『男の子が力強く育つママの習慣』(PHP研究所)など多数。

【イラスト版】頭のいい子が育つパパの習慣(PHP研究所)
家庭の力、とりわけ父親の力は、子どもの成長を左右する大きな要素になる。そして、父親の積極的な教育参加は子どもを伸ばすうえで重要なカギであり、「子どもを伸ばすのはパパしだい」であると著者はいいます。多忙なパパでも明日から簡単にできる子育ての習慣をわかりやすくご紹介します。