子どもの脳を育てる親の会話
育脳にいい話し方、悪い話し方
子どもの安全基地として、親は言葉遣いや話し方にどんな注意が必要でしょうか。まずは、「あなたはダメね」などと子どもの存在を否定する言葉を使ったり、子どもが何かに夢中になっているときにそれを邪魔するような、たとえば「そんなこと、将来、役にたたないわよ」などという言い方は絶対にやめましょう。
育脳のためには、子どもが何かに夢中になったら、黙って見守っていることが大事です。そして、何かにチャレンジしたタイミングで「がんばってるね」「やるじゃん!」など、背中を押すようなひと言をかけてあげるといいでしょう。
そして、失敗したときは「まあ、そんなこともあるよ。またチャレンジすればいいよ」となぐさめ、励ますような言葉をかけてあげましょう。そのとき、「~しなさい!」と命令したり、親の考え方を一方的に押しつけたりしないことが重要です。
子どもは、面白そうなことや楽しそうなものを前にすれば、命令されなくても自分からやり始め、すぐに熱中します。この、「熱中する」ことで脳の集中する回路や記憶回路がきたえられるのです。その意味では、子どもが何に興味をもっているのか、何に熱中できそうかを日頃から観察していることが大事です。
「最近、お友だちの間では何がはやっているの?」などと質問するのもいいですね。子どもが夢中になって話し始めたら、それはきっと熱中できることです。そうしたら親は、「熱中し続けられる環境」を整えてあげましょう。
夫婦間の会話はこうしよう!
最初にお話ししたように、子どもは親の影響を強く受けますから、お父さんとお母さんが、お互いを思いやる会話をしていることも大切です。
結婚してしばらく経つと、どうしてもなれ合いになって相手への配慮が欠けてしまいがちですが、夫婦といえどもお互いに独立した人格です。相手を尊重し、最低限の礼儀はわきまえたいものです。
たとえば、夫が妻に対して(もちろん、その逆の場合でも)「ごはん、まだ?」とそっけなく言うのではなく、「そろそろごはんにしない? 何か手伝おうか?」と話す、というような気遣いです。小さなことですが、子どもは親のそうしたやりとりを見て「相手を思いやる」ということを学んでいきます。
また、「ありがとう」など感謝の気持ちを表わす言葉も、きちんと口に出しましょう。最初は照れるかもしれませんが、子どもの未来のためと思えば、たやすいことではないでしょうか。
日本では昔から「あうんの呼吸」といって、お互いに「言わなくてもわかる」ことがよしとされてきましたが、海外では通用しませんし、日本人の感覚も欧米化しつつあります。これからの時代、子どもたちが国際的に活躍することも考えると、「自分の考えや気持ちをきちんと言葉にできなければ相手に伝わらない」ということを教える必要があります。
家庭の中に、思いやりや感謝の気持ちを表わす言葉があふれていれば、子どもにとってもそれがあたりまえになりますし、きっと親子関係、夫婦関係にもよい影響があるでしょう。