スポーツドクターが疑問視 「子ども筋トレをすると身長が止まる」の真偽
【昔の常識その2】⼦どもの筋トレは背が伸びない?
「子どものうちに筋肉をつけてしまうと背が伸びない」という説を聞いたことがありますか? 昔から「子どもの筋力トレーニング、いわゆる筋トレは禁止」とまで、まことしやかにいわれていますが、これも明確な医学的根拠はないものと考えます。
それどころか最近では、「筋トレは成長ホルモンを分泌させる」という研究報告がされています。
筋トレは、運動能力を上げ、競技成績を向上させるだけでなく、ケガの予防にもなりますから、根拠なく「ダメ」といってはなりません。
しかし、指導者や保護者が鬼の形相で筋トレをさせれば、子どもにはそれが何を目的として行うのかを理解できず、ただ辛いだけです。そのせいで生じたストレスは、心身の発育にマイナスになることもあります。
指導者をはじめ、子どもの競技にかかわるおとなは、自分が子どもの頃や現役だった頃の常識にとらわれず、知識の更新をして、楽しく子どもたちに伝えていきたいものです。
【昔の常識その3】お菓子や甘い飲料はNG?
スポーツを高く志すと、何だかストイックな生活の方が望ましい、という思想になっていきます。スナック菓子や甘い飲み物、菓子パンやハンバーガーなどは、からだ作りにふさわしくないとして一切口にしてはならないと厳しく管理するやり方を好む指導者もいるでしょう。
ですが、頭ごなしにそのような考えを子どもたちに押しつけるのは決してよいことではない、というのが私の考えです。
もちろんこれらはいわゆる嗜好品で、バランスのよい栄養食品とみなすことはできません。
優先されるべきは、からだ作りに最適なゴールデンタイムである「練習や運動直後のタイミング」を逃さず、失ったカロリーや水分、アミノ酸やタンパク質を摂ることです。
その前提を踏まえたうえで、たとえば「炭酸飲料水350ミリリットル1缶に含まれる糖分は、角砂糖9~10個分」といった知識を持っておいて、試合後に頑張った後にどうしても飲みたいと思ったときは楽しんで飲む、でも飲みすぎない、とコントロールしながら楽しめばよいのです。
食事の妨げにならない程度に嗜好品として楽しめば、大きな問題はないでしょう。菓子パンやハンバーガーだって、トップアスリートでも食べますよ。
現実的には、口から入れた食品の栄養成分はすべてからだに吸収されて身につくかというと、そんなことはありません。体調や調理法、油分や火のとおり具合で、栄養分の何パーセントがからだに吸収されるかは変わります。
保護者の方は、お子さんの体内に入る食品の栄養素について、つい考えすぎてしまうこともあるでしょうが、栄養学の論議は、人間のからだがどのくらい栄養素を取り入れるのかという点でやや曖昧な部分があります。あくまで理屈理論を得たうえで、大きな枠組みでよい習慣を作ることが大切だと心得ましょう。
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