わが子を「かわいい子」に育てるには?

須賀義一

言葉を使う

言葉は使っているようで使っていません。

日本人はかわいがることにとてもシャイです。我が子をかわいがるのはなにも遠慮することではないのですが、ついつい恥ずかしがってしまいます。

「あなたのこと大好きですよ」
「私の宝物だよ」
「笑っているとかわいいよ」

など、かわいがる言葉、気持ちを伝える言葉を恥ずかしがらずに言ってあげましょう。

これまで「言葉にせずとも親の思いは伝わる」というのが、多くの日本人のスタンスでしたが、言葉として口に出せばもっと伝わるのです。

現代は、親子で過ごす時間、ゆったりと関われる機会が昔よりも減っています。使えるものはなんだって使ったほうがいいですよね。思いは、口に出したらかたちになります。

かたちになったものは疑う必要がありません。どんなお父さんお母さんも、せっかく子どものことを大事に思っているのですから、その思いをかたちにしてあげましょう。

そのかたちは、欲しがるモノを買ってあげることよりも、ずっと子どもにとってうれしいものとなりますよ。

感情を表すことが苦手だからと、モノを与えることで伝えようとしていたのは、かつての子育てのよくない習慣だと僕は思います。

たっぷりする

かわいがることに「しすぎ」ということはありません。

「やりすぎたら甘やかしかしら?」などと考えずに、たくさんしてあげていいのです。たっぷりと大人から好意を向けてもらった子どもは、安心感を持って日々を過ごすことができます。

そういう子は現状に不満がないので、前に進むことにもモチベーションが高いのです。前に進むこととは、つまり成長することです。

反対に、親から向けてもらう好意を十分に自覚できない子は、満たされず、欠乏感が続きます。そのため、親に目を向けてもらうための行動をたくさん出してきます。その出し方は多くの場合、ゴネたりダダをこねたりなど、大人を困らせるネガティブな行動となってしまうのです。

この状態では、子どもは現在の不満を解消するために頑張らなければならないので、成長するほうへ力を向ける余裕がありません。特に、卒乳や排泄の自立など、心の安定や発達をベースとするものは難しくなってしまいます。

「自分に大人のあたたかい関心が向けられている」
「自分は親に大切にされている」
「毎日あたたかく見守られている」
「かわいがられている」

そういった受容的な実感を、幼少期の子どもは無意識に日々求めています。もちろん、大人のほうに心の余裕がなく、子どもの受容感を満たしきれない日もあるでしょうが、基本的にはその実感を継続して持たせてあげることが大切なのです。


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