「言うことを聞かなくなってきた子」の育て方

東ちひろ
2023.10.13 16:13 2023.02.16 17:14

「言うことを聞かなくなってきた子」の育て方の画像1

小学生中学年・高学年以降の思春期向けの子育て本では、よく「子どもが反抗期を迎えたら赤飯を炊きましょう」「反抗は必要なことです」と書いてあります。

でも、お母さんとしては、わが子が反抗してどうしようもないときの、具体的で前向きな対応を知りたいのではないでしょうか。子どもが目に余る言動をしたとき、親はそのすべてを受け入れたほうがいいのでしょうか。

――『「言うことを聞かなくなってきた子」の育て方』~思春期に入る前に知っておきたいこと~では、子育てコーチングを専門とする東ちひろ先生(東ちひろマザーズセラピー主宰)が修復不能な親子関係に陥らないための子育て法を解説しています。

※本稿は、東ちひろ著『「言うことを聞かなくなってきた子」の育て方』(PHP研究所)の「第1章 思春期のことを知っておこう」より一部を抜粋・編集したものです。

東ちひろ(ひがし・ちひろ/一般社団法人子育て心理学協会 代表理事)
幼稚園・小学校教員、中学校相談員、教育委員会勤務を経て、「東ちひろマザーズセラピー」を主宰。その後「子育て心理学協会」を立ち上げ、代表理事を務める。社会人(女)・社会人(男)の二児の母。教育に携わって30年、今まで相談を受けた子ども・保護者・学校の先生の数は、2万件以上、改善率93%、学校復帰率75%。著書多数。
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お母さんの心も大きく揺れる時期

母親と男の子

子育てに悩みはつきものです。みなさんも、子どもが幼いときからあれこれと迷ったり悩んだりしながら子育てをしてきたことでしょう。子育ての悩みは今日に始まったことではないと思います。

子どもが幼いころは、「うちの子、まだオムツがはずれません」「赤ちゃん返りをして抱っこをせがまれます」など、公園で子どもを遊ばせながら、近所のママ友と話をしたかもしれません。

いま考えると、あれはなんだったのでしょう…。思春期の大変さと比べると、あのころの悩みは子育ての悩みのうちには入らないと感じられるかもしれません。

思春期の子育ての悩みが深い原因には、お母さん自身が人には相談しにくいと感じてしまい、自分の子育てについて閉鎖的になりやすいことがあります。

「○○幼稚園ってどんな感じですか」とママ友に相談できたとしても、「うちの子、偏差値が○○なんだけれど、△△中学校に入れるかしら…」とは聞きにくいものです。ましてや、「うちの子、私に『うるせえ、ババァ。死ね、消えろ』と言うのです…」とはちょっと言いにくくなります。

また、子どもによって、部活動が大好きな子、勉強熱心な子、遊びが大好きな子、ジャニーズが大好きな子、ゲームが大好きな子、と興味関心や行動パターンが多様に広がっていき、わが家の子育ての悩みがお隣の子育ての悩みといっしょにはならなくなります。受験を心配する親もいれば、家出した子どもを心配する親も出てくるわけです。

そして、幼いときだったら、「最近、幼稚園を行き渋るようになりました…」と先生にも相談できますが、学校の先生に、「最近、朝までゲームをしているんです」と相談していいやら悪いやらと考えるようになります。子育ては八方ふさがりとなります。

さらに、お母さんは女性なので、男の子が暴言を吐くことに戸惑ったり、女の子であっても、自分のときとは反抗の仕方が違ったりすると、お母さんの心の軸は大きく揺さぶられて、ぶれていきます。

東ちひろ

東ちひろ

幼稚園・小学校教員、中学校相談員、教育委員会勤務を経て、「東ちひろマザーズセラピー」を主宰。その後「子育て心理学協会」を立ち上げ、代表理事を務める。社会人(女)・社会人(男)の二児の母。教育に携わって30年、今まで相談を受けた子ども・保護者・学校の先生の数は、2万件以上、改善率93%、学校復帰率75%。著書多数。