親が笑うとなぜ「頭がよく性格がいい子」に育つのか?

陰山英男

親が笑うと、子どもが本来もっているさまざまな力がぐんぐん育っていきます。その力は、子どもが豊かに人生を生き抜くための支えとなり、学力や人間力を育てます。

※本記事は「PHPのびのび子育て」2020年1月号特集【お母さんが笑うだけで、かしこく優しい子に!】より、一部を抜粋編集したものです

陰山英男(かげやま・ひでお/陰山ラボ代表/教育クリエイター)
1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧gを問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。過去、文部科学省中央教育審議会教育課程部会委員、内閣官房教育再生会議委員、大阪府教育委員会委員長などを歴任。2006年4月から2016年まで、立命館大学教授。現在、陰山ラボ代表。陰山メソッド普及のため教育クリエイターとして活躍し、講演会等を実施するほか、全国各地で教育アドバイザーなどにも就任、子どもたちの学力向上に成果をあげている。

あなたの笑顔が子どもを伸ばす近道

やることが多く忙しい毎日、時には、「早くしなさい」「どうしてできないの?」と、つい怖い顔をして子どもを叱ってしまうこともあるかもしれません。でも、お母さんの表情、笑顔が子どもの成長に大きく影響するとなれば…どうしますか。

私自身の子育てを振り返ると、正直言って、仕事が忙しく、家庭をあまり顧みないダメな父親だったと思います。

それでも子どもたち3人がそれぞれ自分の夢をもち、結果としてその道へ進んで豊かな人生を送れているのは、妻がいつも笑顔で子育てをしてくれたからだと思います。妻はコロコロとよく笑い、また子どもたちをよく笑わせようともしていたので、家庭の雰囲気はいつも和やかでした。

あるとき、子どもが東大に合格したお母さんたちに集まっていただき、話を聞く機会がありました。そのときのお母さんたちの笑顔の素敵なこと。日常的に”笑い慣れている”という感じで、表情がとても穏やかなのです。このようなお母さんが子どもをかしこく育てるのだな、と実感しました。そして、妻に改めて感謝したのです。

学力や人間力を育てる一番の近道は、家庭に笑顔があること、そしてお母さんが笑うこと。あなたが笑うことで、子どもに必要な力が育っていくのです。

*自分でやる力 自主性とチャレンジする勇気が育つ

笑顔のあふれる家庭で育った子どもは、肩に無駄な力が入らず、ごく自然体でいられます。どのような結果になっても、お母さんが笑顔で受けとめてくれるということがわかっているので、「失敗したらどうしよう」と、ビクビクしません。

そもそも「失敗」ということ自体が頭に思い浮かばないのです。いろいろなことに積極的で、「やってみよう」という意欲が自然と湧いてきます。そうやって挑戦して得た経験は、すべて生きていくための糧となります。

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