怒らない、叱らない?「何を言っても聞かない子」が変わる親の接し方
「言葉は伝わらない」と思ったほうがいい
「待ち上手」な子育てをしていく中でも、伝えるべきことはしっかり伝える必要があります。
では、いざ伝えるときに、何に気をつければいいのでしょうか。
大事なことは言葉ではなく、親であるあなたの姿勢です。「こういう言葉をかければ絶対にうまくいく」なんていう言葉は、残念ながら存在しません。
伝える人が、どういう気持ちをもって、相手を見ているのか。伝える人の心の中は整っているのか。そこが大事になります。その前提を忘れずに、どう伝えればいいのか考えていきましょう。
・上から伝えるのではなく、横の関係で伝えることができるようになる
・言葉だけに頼らず伝えることができるようになる
・伝える前に伝わるかどうかが決まっている
・すべてを伝えず、我が子の言葉を引き出すことでコミュニケーションが深まる
これらを意識して伝えることができれば、親も子も互いに学べて笑顔が増え、より建設的な対話ができるようになります。
キーワードは「間」です。極論を言えば、私は伝えなくていいと思っています。
親だって半人前。それなのに、自分の生きてきた経験をもとに、「こうあるべき」「こうならないと、将来いい大人になれない」と教えがちです。
何度言ってもできないと、「なんでこんなことも分からないの!」と怒ります。あなたはあなた、子どもは子どもなのに……です。
こんな感情的な伝え方では、子どもはまず理解できていないと思って間違いありません。
子どもを認め、信じ切ること
そこで「間」が大切になってきます。
メラビアンの法則をご存知ですか?カリフォルニア大学の心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した法則です。
人に与える影響の中で、言語情報は7%しかなく、聴覚情報は38%、視覚情報が最も高く聴覚情報は55%もあるというものです(7−38−55のルール、3Vの法則とも呼ばれています)。
どんな言葉がけをしようか悩むくらいなら、何も話さないほうが伝わります。
自分を整え、関心をもって子どもを見て、子どもから学んだあなたなら大丈夫。
伝えたいことを心の中で思い描きながら、笑顔で見つめていてください。我が子には、必ずあなたの思いが伝わります。
「全然そんなことないですよ」
「言っても言ってもやらないのに、言わなかったらますますやりません」
「そんなふうに育てられたら大人になってかわいそうなのは、子どもですよ」
そう言いたくなる気持ちは分かります。でも心配いりません。信じて待ってください。
うまくいかないとしたら、親であるあなたが、子どもを信じきれてないのです。
「この子はできる。できる。できる」って思っていてください。時々は、「あなたは、できる子ね」と口に出して伝えてあげてください。伝えることは、それだけで大丈夫。
直してほしいところがあったときは、何も言わずに待つ。心の中でイラッとした感情が生まれたとしたら、それを我が子にぶつけるのではなく、この感情は何なのか、自分の中で自問自答してください。
きっと、我が子のことを思って心配や悲しみの感情が生まれたのだと思います。ここで怒らなくても大丈夫。イラッときたときは、その感情と向き合うだけ。
そして、よい行動をしたときに、言葉だけに頼らず、表情やしぐさを大げさなくらい使って伝えてあげてください。
「あなたは素晴らしい」
「さすがうちの子」
「なんでそんなことできるの? お母さんはできないな」
あなたが当たり前だと思っていることを認めてあげてください。
「いつも自分から宿題をして、お母さんが帰ってくるまでに終わらせてくれてほんとにありがとう。一緒に話したり、遊んだりする時間がとれてうれしいわ」
「ここにあったゴミどうしたの? 捨てといてくれたなんて、なんて気が利くの。ほんとありがとう」
「今日も元気でいてくれてありがとう。寝る前に元気でいてくれたことが、お母さんは一番うれしいよ」
今は言葉を例にして書きましたが、こんな言葉は言っても言わなくても構いません。
大事なのはそのマインドであり、そのマインドで見つめたり、抱きしめたりすること。何度も言いますが、相手に伝わった情報のうち、言語が占める割合は7%でしかないのです。
伝えるときのポイントは、あなたのあり方です。言葉ではありません。言葉はほとんど通じていないと思ったほうがいい。
「あ、今言葉で伝えたから、この子は分からなかったんだ。分からないこの子がいけないのではなく、言葉だけで伝えようとした私がいけなかったんだ」
そう思えれば、あなたのあり方はどんどんすてきに、魅力的になっていきます。その結果、あなたの伝え方に「間」が生まれ、うまく伝わるようになっていきます。