開成高校・元校長「ゲーム好きな子どもは将来有望」「ゲームはうんとやれ」

柳沢幸雄
2023.10.18 14:51 2023.02.27 14:30

ゲームをする子どもたち

2020年3月まで開成中学・高校の校長を務め、現在は北鎌倉女子学園の園長である柳沢幸雄氏。

同氏の著書『ハーバード・東大・開成で教えてわかった 「頭のいい子」の親がしている60のこと』では、50年近い教員生活の経験と、親としてアメリカでの体験を踏まえ、親が子どもとどう関わればよいかをアドバイスしている。

本稿では、柳沢幸雄氏が子どもに「ゲーム好きな子どもは将来有望」「ゲームはうんとやれ」と言う理由に迫り、ゲームを教育や時間の使い方という観点から考える。

※本稿は『ハーバード・東大・開成で教えてわかった 「頭のいい子」の親がしている60のこと』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。

【著者紹介】柳沢幸雄(やなぎさわ・ゆきお)
1947年生まれ。東京大学名誉教授。北鎌倉女子学園学園長、前・開成中学校・高等学校校長。開成高等学校、東京大学工学部化学工学科卒業。71年システムエンジニアとして日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。74年退社後、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、併任教授(在任中ベストティーチャーに数回選ばれる)、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年から開成中学校・高等学校校長を9年間務めた後、2020年4月より現職。シックハウス症候群、化学物質過敏症研究の世界的第一人者。

開成の生徒にはゲーム好きが多い

ゲームコントローラーと子どもの手

開成高校の生徒にゲーム好きが多いように、私は「好きならうんとやれ」と言っていました。ゲームの面白さの真髄を味わいなさいと。

これからの時代、ゲームのプログラミングに興味がある子どもたちは、将来有望です。

テレビゲームが盛んになってから長い時間がたち、ゲームもさまざまな技術に支えられるようになっているからです。

システムを作るシステムプログラマーだけでなく、サーバーのプログラマー、エフェクトプログラマー、AIプログラマーなど多くの分野のプログラマーたちがゲームには関わっています。

そして複雑な構造と高画質、すばらしい音楽、アートなど技術や芸術の質の向上が際立つようになりました。

つまり将来の職業と結びつくプログラミング教育は、子どもが活躍するきっかけづくりの一つになるということです。

実際の教育現場を見ると、2020年度改定の新学習指導要領では、小学校から高校までの各学校でプログラミングが必修化されます。

これまでの学習に比べると、プログラミング学習は異質なものに感じるかもしれませんが、時代は変わり、子どもたちが秘める可能性を発掘することにつながります。

プログラミングの能力を開花させ、想像力を発揮して起業する若者や特許を取得する子ども現れるでしょう。

ゲームが好きならのめり込みましょう。ただ消費者としてではなく、「作る方に回れ」と私は子供たちに伝えます。

なぜ面白いのか、世の中には何が求められているのか、子どもたちにはとことん分析してほしいです。

ゲームが好き、というと学校からも保護者からも目の敵にされます。もちろん、依存して長時間を費やし、他に何も進まないのはよくないことです。

ですが、保護者の方もゲームをただ毛嫌いするのではなく、お子さんがゲームから何を吸収しているのかをよくくみとり、助言してあげられるといいかもしれません。

柳沢幸雄

柳沢幸雄

1947年生まれ。前・開成中学校・高等学校校長。開成高等学校、東京大学工学部化学工学科卒業。71年システムエンジニアとして日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。74年退社後、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、併任教授(在任中ベストティーチャーに数回選ばれる)、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年から開成中学校・高等学校校長を9年間務めた後、2020年4月より現職。シックハウス症候群、化学物質過敏症研究の世界的第一人者。