開成高校の元校長が教える、「思春期のイライラ」との上手な付き合い方

柳沢幸雄

悪態をつかれても怒らない、話を否定しない

もし、子どもが「今日は部活で疲れた」と短く言ったとしたら、「そう、お疲れ」とねぎらったあとに、「何をやって疲れたの?」などと質問をしてみましょう。

「うるせぇな」などとつぶやいたとしても、そのあと、「筋トレ」などとぶっきらぼうに答えるのではないでしょうか。

ここで、腹を立ててはいけません。思春期の男子なら、答えただけマシだと思いましょう。

根掘り葉掘りではなく、短い会話を続けていくことで、だんだん長くしゃべるようになります。機嫌がよければ、自分がどれだけ今日がんばったかの自慢話や、部長がどれだけ理不尽な練習を課してくるかの愚痴など、言ってくるのではないでしょうか。

こんなとき、保護者はまた、「自慢ばっかりして」「部長が言うことも当然なんじゃないの?」など、子どもの言うことを否定してしまいがちです。そうなると口を閉ざしてしまいます。

「そうか、がんばったんだね」「そうか、練習、きつかったね」など、オウム返しのように言い、共感する。

いきさつがわからないことは質問する。こうしているうちに、「オレも、もう一息がんばらないとな」「要するに部長はこう言いたかったんだな」などと、自分で解決策に結びつけることができるのです。

基本的には、小学生も中高生も、思春期でも問いかけ方は同じです。共感する、質問する、そしてまた共感する。どれも大人は短い言葉と笑顔を心がけます。

『ハーバード・東大・開成で教えてわかった 「頭のいい子」の親がしている60のこと』(PHP研究所)
東京大学、ハーバード大学、開成学園、そして現在の北鎌倉女子学園、50年近い教員生活の経験と、親としてアメリカでの体験を踏まえ、保護者の方々が子どもとどう関わればよいかを、著者がていねいにアドバイスします。