「あだ名」から始まる子どものいじめ…やめさせるために親にできること

堀田秀吾

人に要求をするときに有効な「フェイス理論」

人間には二つのフェイスがあるとされています。フェイスというのは、「顔」のことです。フェイスには「積極的フェイス」と「消極的フェイス」があります。

・「積極的フェイス」 人からよく思われたい、好かれたい、褒められたいと思う欲求
・「消極的フェイス」 人から批判されたくない、自由でいたいという欲求

何かを伝えたり、要求したいときは、これらのフェイスを脅かさないようにして伝えることが基本です。

たとえば、相手にそのあだ名で呼ばれることが嫌だとしても、「そんなふうに呼ぶの、やめてくれない?」のように言うのは、相手の消極的フェイスを脅かすことになり、相手が反抗心を抱いたり、意固地になったり、あるいは逆ギレしたりする可能性が出てきます。

そうならないためには、積極的フェイスに訴えかける方法で伝えるようにするのです。 

たとえば、

「○○ちゃんって、人の特徴見つけるのがすごい上手だよね。ただ、私もホクロのことは自分でも結構気にしているから、違うのにしてくれると嬉しいかも」

このように、褒めことばを入れたりして相手の積極的フェイスに配慮した上で、伝えたいことを伝えるとよいのです。

返事をしないことは逆効果

また、「そのあだ名で呼ばれても返事しない」「不快だということを態度で示す」というのも、相手のことを攻撃こそしませんが、その態度自体が相手への批判と受け取られ、相手の消極的フェイスを脅かします。したがって、この方法も相手の機嫌を損ねる可能性があります。

ですからここでの例のように、やはり積極的フェイスに配慮しながら、できるだけ消極的フェイスを脅かさないような言い回しでちゃんと伝えるほうが角が立たないでしょう(こういった技術は、「アサーション」とも呼ばれています)。

たとえ嫌な相手でも、相手へのリスペクトを忘れないというのが結局は大切だということなのかもしれません。そういう信念は、きっとお子さんを強くしてくれますし、大きな財産になります。

そして、そういうお子さんを見て、力になってくれたり、味方になってくれたりする人も出てくるはずです。

嫌なことを言われたとき、自分の側から積極的に対処する方法もちろん、人が傷つくようなことを言う相手が悪いし、相手に直してもらうのが理想ですが、なかなかそうもいかない場合があります。特に他人の行動を変えるのはとても難しいのです。