「あだ名」から始まる子どものいじめ…やめさせるために親にできること

堀田秀吾
2023.10.18 15:16 2023.02.28 17:47

自分を変える努力も有効

1人で歩く子ども

どの手段を選ぶにしても、相手を責めたり、怒ったり、攻撃するような態度を見せるのは得策ではありません。相手が意固地になったり、逆ギレしたりする可能性があるからです。

それは最終手段としてとっておくほうが無難です(やはり、リスペクトが大切です)。となると、自分の側だけで対処する方法も考えなければなりません。ただ我慢していてもストレスがたまるだけなので、自分の側から積極的に対処する方法を挙げてみましょう。

・参照点となる特徴をなくしてしまう
・もっと目立つ良い特徴を頑張って作り出す
・嫌いな特徴を好きな特徴に変える
・自分がもっと好きになれるあだ名を自ら提案して変えてもらう
・別の解釈を与える

もし可能ならば参照点となるその特徴自体をなくしてしまう。これは、効果的な方法の一つです。そもそもの参照点がなければ、そのことばは機能しないからです。

「猫背」と呼ばれるなら、姿勢を直すようにすれば、猫背ではなくなるので「猫背」と呼ぶことができにくくなります。次は、別のより目立つ特徴を作り出して、もともと目立っていた特徴の存在を薄くするという方法です。

たとえば、ホクロが目立っていたら、帽子などのオシャレなアイテムに凝ってみたり、ヘアスタイルで特徴を出してみたり、わざとメガネをかけてみたりするのです。あるいは、特徴を逆に利用することも可能です。

自分の目立つ特徴、いわゆる「トレードマーク」を作り出すために、度が入っていないメガネをわざわざかける人もいるくらいです。どうせメガネと呼ばれるなら、メガネに凝ってみるのも手です。

参照点になるくらいの特徴ですから、あえて自分のアイデンティティにできるくらいの何かに昇華させられたら、とても素敵なことではないでしょうか。

やってみることが大事

手をつなぐ小学生

欠点を長所にしたり、あるいはその欠点を克服するために何か努力をするということは、人間として成長したり、自身の価値を高めたりするためのチャンスでもあります。

「自分には無理だ」と決めてしまうこと、やらない理由を探してしまうことで、始める前に子ども自身が諦めてしまっていませんか? いずれにせよ、思い立ったらとりあえず始めさせてみることが大切です。

人間の脳には「側坐核」というやる気のスイッチがあって、何か行動を始めるとこの側坐核に刺激が与えられて、どんどんやってしまうという性質があります。ですから、とりあえず始めてみるのです。

自分を守るための行動、ましてや自分を成長させるための行動でしたら一石二鳥、やらないよりやってみることを、お子さんに伝えてみてはいかがでしょうか。

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教室やSNSなど必要以上に子どもが傷つけられない&誰かを傷つけさせないための言葉の使い方、伝え方、考え方を具体的に教えます。

堀田秀吾

堀田秀吾

言語学博士。言語学、法学、社会心理学、脳科学等の分野から言葉とコミュニケーションをテーマに研究を展開。『人間関係の99%はことばで変わる!』『科学的に元気になる方法集めました』等著書多数。