「子どもを育てる」と「子どもが育つ」の違いとは? 子育てに悩む人が見落としがちなこと
子育てはわからないことばかりで不安がつきもの。時には「親としてしっかりしなきゃ!」というプレッシャーから、ガミガミ叱ってしまったり、子どもの行動・言動に禁止や制限をかけてしまうことはありませんか?
『「私、子育て向いてないかも」がラクになる本』の著者Joeさんは、「『守るべき最小限のルール』で囲った上で子どもを自由にさせることが、結果的にその子の才能と能力を伸ばすことにつながる」と指摘します。
著書の一節より、親と子それぞれがストレスなく過ごすための子育てのコツを紹介します。
※ 本稿は、Joe著『「私、子育て向いてないかも」がラクになる本』(日本実業出版社)より、一部を抜粋・編集したものです。
Joe(ジョー/モラハラ対策カウンセラー)
1976年生まれ。典型的なモラルハラスメントの関係にある両親の元に生まれ、幼少期を過ごす。その経験を通して、モラルハラスメントをする人・される人の心理を知り、その後徐々に、周囲の同様の環境にある人たちに、モラハラ対処のアドバイスをするようになる。
現在は、世の中の「離婚できない事情のある」モラハラ被害者を対象に、モラルハラスメントの被害を受けないためのメソッドを伝えるため、「離婚しないモラハラ対策カウンセラー」として、個人カウンセリングや各地での講演等の活動をしている。
最小限のルールで子どもを育てる
Joeメソッド子育てのポイントは、「放牧」をするように子どもを育てることです。
日々、子どもに対する躾として親が細かいことをいちいち指図するのではなく、子どもの生活全般を、あなたが定める「守るべき最小限のルール」で囲った上で、「このルールの中でなら、好きに育ってよし!」というスタンスをとって、子どもを自由にさせながら、親子ともどもストレスなく過ごす子育てスタイルです。
この時の、あなたが定める「子どもに守らせる最小限のルール」のことを、この子育てスタイルでは、「柵」と呼びます。
この「柵」とは、たとえば、「保育園には行きます」「お昼寝はします」「おやつはこの量です」「夜は〇時までには寝ます」など、子どもの安全と、家庭の秩序と、母親自身の精神を守るために設定する、我が子に守らせるべき最小限のルールのことです。
こうした「柵」として定めたルールだけは、明確に子どもに守らせますが、それ以外は基本的に、子どもに対してそれ以上の技術を身に付けさせようとしたり、何かの能力を伸ばそうとしたりはしません。
あなたが定めた柵(ルール)の中にいる限り、子どもがどう成長するかは、基本的に子ども自身に任せながら、親であるあなたは、ただただ温かく見守ったり、肯定的なリアクションをしたり、時間があれば一緒にふざけたり遊んだりしながら楽しく過ごします。
そうすることで、子どものメンタルは驚くほど安定していき、親子関係が良くなるとともに、子どもの心は耕され、自己肯定感の高い、生きやすい体質へと成長していきます。その結果、その子は、自分に必要な能力を自分の意思と自分の力によって向上させられる人になっていきます。
このことは、今までずっと「”私が”この子に生き方を教え込まなきゃ!」と焦りながら、必死で「植え付け子育て」をしていた人にとっては、直観的に理解しにくいことかもしれません。でも実は、これにはカラクリがあるのです。