「思いやりの心は3歳で現れる」子どもの優しさを育む共感テクニック

堀田秀吾

 <解決策>「マネされるほど素敵」ということを伝える

赤ちゃんの成長過程を見るとわかるように、人は、他人をマネすることで学び、成長していきます。人のマネをすることはとても大切なことなのです。

しかし、子どもの自尊心や自我の発達に伴い、人にマネされるのが嫌な時期が必ず訪れます。みんなと一緒ではない自分に、ちょっとした誇りを感じるのかもしれません。もともと人間は、「同族嫌悪」といって、自分と同じ特性を同族の他者が持つことに不安を感じる生き物です。ある意味、仕方がないことでもあるのです。

それに、子どもがいくら嫌がったとしても、親としてはお友達がマネすることを止められません。こういう時は、子どもの「マネされて悔しい気持ち」を受け止めつつ、「マネされるくらい、みんなにうらやましがられる何かを持っている」ことに気づかせてあげると、受け入れやすくなるようです。

マネされるのが嫌なのは、自分が特別でなくなるから。つまり、承認欲求が根底にあります。ですから、「あなたはすばらしい」ということをパパもママも周りも認めているんだということを伝えることが大切です。仲良しのお友達同士であれば、「2人おそろいで、素敵だね」などと声かけしてあげると、機嫌をよくして許容してくれることもあるようです。

どうしても嫌がっていたら工夫するのも一手…

「マネされるくらい、みんなにうらやましがられる何かを持っている」ことに気づかせてあげると、受け入れやすくなります。「いいなー、みんなに好かれてるんだねー」「おしゃれさんなんだって!」でご機嫌になります。

仲が悪くないなら、「おそろいで素敵じゃん!」で、意外に納得してくれるかも。どうしても嫌がっているなら、改造してみては? スパンコールをつけたり、紐の色を変えたりすると特別感が出せます。手芸が苦手でなければ親の一工夫をいれてみてもいいかも。

【もっとやる気にさせる応用フレーズ】
・ファッションリーダーだね!
・じゃあ、ヘアゴムを改造してみる?
・2人おそろいで、素敵だね

お悩み3. トランプで負けていじける

ゲームは楽しいですが、負けたら感情的になってしまう子もいます。親も子も感情的になりがちな場面、どんな声かけが適切でしょうか。

【言いがちフレーズ】
みんなで仲良く遊べない子なんて、もう知らない!

【おすすめフレーズ】
いっぱい取られちゃうと悔しいよね、わかるよ

お友達のキミちゃんが遊びにきてくれて、ママとアイリちゃんでトランプをしている時のこと。いつもは得意な神経衰弱ゲームなのに、今日はなかなか勝てません。キミちゃんとママの楽しそうな様子を見たアイリちゃんは、怒って2階にあがってしまいました。

「なんで、ママはキミちゃんの味方ばっかりするの!」
部屋に閉じこもって扉越しにアイリちゃんが言います。
「一緒に遊んでただけでしょ?」
ママはなだめようとしますが、アイリちゃんはエスカレートするばかり。
「キミちゃんと2人で遊んだらいいじゃん!」