「わがままな子」が変わるひと言
理由1:自己を律する力が育つ
自分の思いや言いたいことが周囲に受け入れられず、自分の思い通りにいかないことがあると、子どもはかんしゃくを起こしたり、ふくれたりします。それが周囲にはわがままとうつります。
このような時、いつも頭ごなしに叱られてばかりいると、「自分はだめな人間だ」と自信を失い、自己肯定感や心のゆとりがもてず、いつまでも自分の気持ちをコントロールできません。
しかし、頭ごなしに叱るのではなく、「自分の言いたいことを正直に述べることができているのだ」と肯定的に見守ると子どもの気持ちは安定します。そして、周囲の大人が適切な行動をしている中で、子どもはそれを手本とし、どのように行動すればよいのかをだんだんと学んでいきます。
同時に、自分の思いどおりにならないことや、いつも周囲に受け入れられるとは限らない葛藤体験を重ねながら、がまんをしたり自分の気持ちをコントロールしたりするなど自己を律する力を培っていくのです。
理由2:責任感や協調性が養われる
ある小学1年生のクラスで学芸会の劇の役決めをした時のことです。同じ役を希望する子どもが2人出ました。どちらがその役をするかジャンケンで決め、負けたアツシくんは残った役にしぶしぶつくことになりました。
次の日から劇の練習が始まりました。しかし、途中で「やりたくない」と言い出したアツシくんは、友だちから「わがまま」「ずるい」と言われ、教室から出て行ってしまいました。
練習中、アツシくんの役の場面になり、アツシくんがいないことに困った子どもたちは、保健室にいたアツシくんに、「アツシくんがいないと劇ができなくて困るんだ」「君の役は大事なんだ」と話しました。
アツシくんは嫌々ながら練習に参加することになりましたが、本番では「やった」という達成感を感じていました。本番に至るまでにはやりたい役につけなかったつらい葛藤のあったアツシくんですが、この体験は集団の中で自分が果たす役割の大切さ(責任感)や協調性を考える機会になったと考えられます。