「わがままな子」が変わるひと言

井戸ゆかり

理由3:適切な自己表現や適応力がつく

わがままとうつる言動は、周囲から受け入れられないことが多く、理由2にあげた事例のように、友だちからも「わがまま」「ずるい」などと言われて嫌な思いをすることがあります。

しかし、そのような葛藤体験や過程を経て、相手の立場や気持ちを理解できるようになり、どのように自分の意思を伝え行動するとよいか、時には自分の気持ちを抑制するなど社会に適応するための対応を身につけていきます。

また、心のSOSサインや甘えたいという表現のひとつとして、自分に気持ちを引きつけるためにわざとわがままを言うこともあります。このとき、周囲の大人は単なるわがままだと安易に片づけてしまうのではなく、わがままを言っている子どもの気持ちをしっかり汲むことが大切です。

そうすることで子どもは自分が受容されていると感じ、安心します。そして、次第に自分の気持ちをわがままで示すことはせずに、適切な自己表現で伝えることができるようになっていきます。