「抱きしめる」ほど、たくましくなる!

井戸ゆかり

子どもが甘えてきたときは、100%で受け入れる。これこそが、子どもをたくましく、心を豊かにするのです。

※本稿は『PHPのびのび子育て』2012年10月号から一部抜粋・編集したものです

井戸ゆかり(東京都市大学人間科学部教授)
青山学院大学卒業。大妻女子大学大学院博士課程修了。学術博士。東京都市大学人間科学部児童学科教授、横浜市子育てサポート研修講師、渋谷区次世代育成支援地域協議会会長などを務める。著書に『子どもの「おそい・できない」にイライラしなくなる本』(PHP研究所)ほか。

「自分でやりなさい」は逆効果? 手をかけるほど自立する

親は、日常のことが1人でできる子どもに早くなってほしいと思うことが多いようです。例えば、子どもが、「お母さん、やって」「手伝って」と言った時、「お兄ちゃんなのだから自分でやりなさい」「もう1人でできるでしょう」などと応じた経験はないでしょうか?

特に、幼児期は、「自分でやる」と取り組んでみたことが実際にはできなかった、ということがしばしば生じます。そのような時、子どもはきっとできると思っていたために、不安や悔しさを感じ、自分でもどうしたら良いのかわからなくなり、大泣きしたり、親に甘えてきたりします。

なぜ、愛情を注ぐほど良いのか?

また、「お母さん、やって」と言ってくることもあるでしょう。幼児期(特に2~3歳頃)は自立と甘えの間を行ったりきたりする時期です。親は子どもの早い自立のためによかれと思い、「自分でやりなさい」と言いがちですが、その姿勢がかえって子どもの自立を遅らせてしまうことがあります。

なぜなら、「自分でやりなさい」「自分でできるでしょう」と言うと、子どもは親に受け入れられていないと感じてしまい、不安が大きくなり、意欲や自信をなくしてしまうからです。

その時、不安による甘えを受け止め、「一緒にやってみようか」とできなかった部分を子どもと一緒に取り組んだり、「きっとこの次はできるよ」というように励ますと、子どもの情緒は安定し、親のあたたかい見守りに支えられ、「またやってみよう」という意欲が生まれるのです。そして、自立にもつながっていきます。