親子のスキンシップは愛情ホルモン”オキシトシン”をつくる!

山口創

子どもを強くするオキシトシンの3つの力

オキシトシンがたくさん出るようになると、子どもにとってどんなよいことがあるのでしょうか? 大きな3つの効果を紹介します。

1・触れる人との愛着関係が強まる

オキシトシンの一番の力が、相手への愛情を深め、双方の愛着関係を強めてくれることです。マッサージを使った私の研究では、触れられた側はもちろん、触れた側のオキシトシン数値も高くなることがわかりました。

子どもと触れ合うと、子どものオキシトシンが増えるだけでなく、あなたのオキシトシンもたくさん出るのです。親子で優しい気持ちで関わり合えるようになります。

2・学習能力(記憶力)が高まる

オキシトシンが出ると一時的な記憶を蓄えておく機能が高まり、記憶力がアップします。また心身がリラックスするため、目の前のことに集中できるようにもなります。

私の研究でも家族でのスキンシップが多い子は、そうでない子よりも若干ですが知能指数検査のポイントが高いという結果が出ました。記憶力と集中力が高まることで、学習能力が向上するのです。

3・ストレスに強くなる

これまでの数々の研究で、オキシトシンには、ストレスホルモンの血中濃度を下げて、ストレスを抑える効果があることがわかっています。

心拍数や上昇した血圧を低下させたり、不安や恐怖をやわらげて安らぎの感情を高めたりする働きもあるため、オキシトシンがよく出ると、ストレスがあっても落ち着いた状態でいられるのです。多少のことに負けない強さがもてるようになります。

皮膚と脳はきょうだい! 皮膚は「露出した脳」です

ここでは、なぜスキンシップが脳の育ちを促すのかをお伝えしていきます。その大きな理由は、脳と皮膚が同じ細胞層から作られることにあります。

受精卵は、ある時期にくると3つの細胞層に分かれて、それぞれの層から臓器をつくり出していきます。このうち一番外側の細胞層からつくられるのが皮膚と脳の2つ。内側に潜り込んだ部分が脳、外側に広がった部分が皮膚となります。つまり皮膚と脳は「きょうだい」で、皮膚は「霧出した脳」と言えるのです。

そのため皮膚からの情報はダイレクトに脳に届きます。スキンシップで肌が心地よい刺激を受けると、それが脳に伝わって活性化されます。優しく温かなスキンシップは子どもの脳を心地よく刺激して、情緒や感受性が豊かになるなど、発達によい影響をもたらしてくれるのです。