「謝らない子ども」にイラつく前に…それは親の真似をしているかもしれない
心の底から謝るには自分の感情を出すこと
しかし、テクニックも大切ですが、最終的に大切なのは、やはり心です。うわべだけではなく、ちゃんと心の底から申し訳ないという気持ちを持ち、それをどう伝えたら伝わるのかを考えなくてはなりません。
ちゃんと伝えなければ、そして相手に伝わらなければ、謝罪の気持ちを持っていないも同じになってしまうのですから。
自分の感情を出すのが苦手な人は、子供の社会でも、大人の社会でも、なかなか周りとうまくやっていくのが難しくなってしまいます。人間は、共感で人とつながっています。
ですから、感情表現が上手にできないと、相手に共感していることが伝わりませんし、自分の感情を相手に共感してもらうことも難しくなります。結果、人と関わるのが難しくなってしまうのです。
自分の感情を適切に表現してもらうには
子供は親の真似をします。ですから、普段から親がちゃんと感情を表現することが重要です。特に、嬉しい、楽しいといったポジティブな感情を表すことを心がける。そして、子供が自分の感情を表現したときには、共感してあげる。
「嬉しい」と言ったら「嬉しいね!」、楽しいと言ったら「楽しいね!」と共感してあげるのです。共感してもらえると子供は喜びます。そして、その嬉しい経験が次もちゃんと感情を表現するモチベーションとなるのです。
しかし、怒りの感情を子供の前で表現するのはあまりおすすめできません。人間は他人の怒りの表情に恐怖を覚えるのです。子供は、親の怒っている顔を見て、おび怯え、萎縮してしまい、自分の感情を出すのを控えてしまいます。
まずは、「嬉しい」「楽しい」「ありがとう」というポジティブな気持ちを表すことばをちゃんと言えるようにしていきましょう。そして、「どれくらい嬉しいの?」などの質問をして、「飛び跳ねたくなるくらい嬉しい!」のようにより豊かに表現できるように訓練していくのです。
禁止より肯定的な表現が良い
子供にどのように伝えるかというのは、親なら必ず直面する問題です。日本語は、やたらと「~するな」と表現する言語だと言われます。
たとえば、「芝生内立入禁止」は、英語ではKEEP OFF THE GRASS(芝生の外にいてください)のように表現されます。ことわざなどでも日本語は否定で表現するのに、英語では肯定で表現することが多いのです。
悪銭身に付かず。(否定) → Ill got, ill spent.(肯定)
二兎を追う者は一兎をも得ず。(否定) → Between two stools one falls to the ground.(肯定)
このように、私たちもポジティブなことばで伝えるようにしたいものですね。
『いじめのことばから子どもの心を守るレッスン』(河出書房新社)
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