親の言葉が子を幸せにする!わが子にプラス言葉のシャワーを

金盛浦子

親子は日々、言葉を交わして豊かな関係を育んでいます。言葉の影響は大きく、子どもの将来を左右することも。わが子を幸せに導くプラス言葉とは――。

※本稿は『PHPのびのび子育て』2017年3月号から一部抜粋・編集したものです

金盛浦子(東京心理教育研究所所長)
1937年生まれ。心理カウンセラー。小学校教諭を務めた後、大学病院などで心理臨床経験を積み、’78年に東京心理教育研究所を開設。’90年より自遊空間SEPYを主宰。著書に、『伸びる子の9割は、「親の口グセ」で決まる』(PHP研究所)など多数。

子どもを幸せにする言葉って、どんな言葉?

いま、私の手もとに1枚の写真があります。車椅子に乗った女の子に、お母さんが笑顔を投げかけています。ふりそそぐ木漏れ日の中で、女の子はお母さん以上に素晴らしい笑顔を返しています。

もう20年ほど前の写真ですが、今でもはっきりと母娘のあふれる笑顔を思い出すことができます。私がいままで見た笑顔の中でも一番の素晴らしい笑顔です。

このお子さんは当時6歳。生まれつき障害のある彼女は、2歳くらいまで、泣いたりむずかること以外に表現の手段をもっていませんでした。表情も、いつも変わらぬ無表情。それでもお母さんは、毎日笑顔を向けながら、

「今日も元気だね。うれしいね!」という言葉をかけ続けたのです。

そして、彼女が初めてニッコリと笑い返したのは3歳を少し過ぎた頃。表現手段をもたなかった子が、初めて気持ちを表に出したのです。お母さんは大喜びで、

「あなたを産んで本当に良かったわ」と語りかけたそうです。娘さんの笑顔もまた、「お母さん、ありがとう」と語っているようです。

この母娘は、どうしてこんなにハッピーなのでしょう? それは、比べる不安から解放されているからです。だから母親は子どもを丸ごと見つめ、その上で丸ごと受け入れ、素敵なところを見つけて抱きしめることができるのです。その結実が、あの笑顔です。

「ダメな子ね!」
「なんど言ったら、わかるのよ」
「いいかげんにしなさい!」

誰でも口にしがちで、子どもの伸びる芽を摘んでしまう言葉の代表です。こんな言葉が出てくるベースこそ、比較と不安なのです。紹介した母娘の場合を考えてみてください。

最初から比べないから、しっかりとわが子を見つめられたのです。そして、まず存在そのものを喜び、小さな成長一つひとつを喜んだのです。

そうなるためには、なにより、良いところも悪いところも含め、まず自分自身を抱きしめてください。そうすれば、きっと子どものことも同じように抱きしめることができるでしょう。