「発達障がい」ではないのか?
癇癪を起こす頻度が高い子どもに対し、発達障がいの可能性を疑う親御さんもおられるようですが、癇癪を何度も起こすことが、発達障がいとイコールで結びつくわけではありません。
しかし、発達障がいによって感情のコントロールが苦手な傾向にある場合、不満やストレスをどんどん蓄積させ、それが一気に爆発し癇癪を起こしやすくすることはあるでしょう。
また、言葉で伝えることがスムーズにいかなかったり、相手の気持ちや意図することを察知するのが苦手な傾向にあったりする場合も、コミュニケーションがうまくとれないことや、相手への誤解から自分のしようとすることを妨げられたと思い、癇癪を起こすことがあるでしょう。
このように、発達障がいの子どもによく表われる特徴が、癇癪を起こしやすくしていることはあると思います。ですので、親はこれらの要因や特徴、また子どもの日常の他の行動をよく観察し、不安がある場合は、専門医を訪ねられることをおすすめします。
親からの言葉は積極的に届けてあげて
1歳くらいの場合、まずは子どもが不快だと感じる要因、たとえば排せつの有無や空腹、室温などをチェックし、原因を取り除きましょう。
それでもおさまらなければ、子どもを抱きかかえ、その場所から離れましょう。周囲の雰囲気が変わると、気持ちにも少し変化が現われることがあります。
そのとき、背中をトントンと叩き、気持ちを落ち着かせるように静かに語りかけ、「〜したかったのね」「寂しかったのね」など、子どもの気持ちを代弁し、寄り添うような言葉をかけてみてください。
すると親の声が届くことがあります。そして必ず、「頑張って泣き止んだね」「お母さんの声が聞けたのね」など、気持ちを落ち着かせたことをほめてあげましょう。
2歳頃からは、癇癪も激しくなり、壁や床に体をぶつけるような行為もみられたりしますので、その場合は、クッションを挟む、危なくない場所に移動させるなど、身の安全を確保してから、落ち着かせる関わりをしてください。
言葉でコミュニケーションがとれるようになれば、癇癪を起こした原因についても話してみるとよいでしょう。危険が及ぶこと、人や自分に迷惑や危害を与えるようなことは、「絶対にしてはいけない」と伝えてください。
やってみたいことや欲しいものがある場合は、「次はあなたにお願いするね」「次のお誕生日に買おうね」など約束をするとよいでしょう。
また「お店のお菓子を全部買って」など無理難題を言う場合は、寂しさや親の関わりの希薄さが根底にあるかもしれません。日常生活を見直してみましょう。
癇癪を起こすのは親を信頼している証
癇癪を起こす子は、がまんできない子、躾がされていない子、というイメージをもたれる場合もありますが、
実はそうではなく、日頃から厳しすぎる躾や過度な期待で我慢を強要され続けたり、欲求を抑圧されている子どもがストレスを溜め込み、一気に爆発させたりするケースが多いでしょう。
癇癪は、いつまでも続くわけではありません。子どもが順調に成長していること、また親を信頼して感情をぶつけていることなどをポジティブに考え、できるだけおおらかな気持ちで乗り切りましょう。