何を言っても聞いてくれない…思春期の子に親がすべき「子離れ宣言」

高濱正伸

10歳を過ぎたら子離れ宣言

10歳以降の思春期の子どもと接するうえで、お母さん、お父さんに意識してほしいのは、「子離れをすること」です。心の中で意識をするだけでなく、子どもに対してはっきりと「子離れ宣言」をすると良いでしょう。

具体的には「今日からあなたを大人として扱います。もう余計な口出しはしませんから、自分のことは自分でしっかりやりなさい」と宣言するのです。

子にもよりますが、タイミングとしては、小学5年生の4月あたりが節目として良いでしょう。こう宣言することで、子どもは「これからは、自分のことは自分でやらないと」と意識するようになります。

またお母さん、お父さん自身が変わるための決意表明にもなるでしょう。宣言は同性の親からするのがベストです。この頃になると、子どもは本能的に異性の親と距離を取ろうとするからです。もし夫が子育てに非協力的だったとしたら、このタイミングで少しずつ参加してもらうべきです。

親の代わりに「我が子の教育係」になるのは?

とはいえ、同性の親でも、今までのようにあれこれ世話を焼いたり、説教をしたりしていたら、子どもに「ウザい」と言われてしまいます。だからといって注意しないと、子どもはどんどんダラけていってしまいます。そこで私がおすすめしているのが、「外の師匠」に頼ることです。

外の師匠とは、学校や塾の先生、スポーツクラブのコーチ、ピアノの先生、部活動の監督など、子どもの心身を鍛えてくれる年上の第三者のことです。思春期になると、このような外の師匠を自然と求めるようになります。親の言うことは聞かなくても、外の師匠の言うことは、素直に聞くものです。

親には「うるせえんだよ」と悪態をついたり、無視したりする我が子が、スポーツクラブに行くと、監督やコーチに対して、きちんと敬語を使い、「はい、わかりました!」と大きな声で返事をしているなんてことはよくあります。

理想的なのは、この「外の師匠」が人生経験豊かで、筋が一本通った人であることです。スポーツや芸術に関して指導しながらも、この先、人生を歩んでいくうえで大切なことを教えてくれるでしょう。

なぜ礼儀が大切なのか。なぜチームメイトを助けることが必要なのか。なぜ基本が大切なのか…そのようなことを親の代わりに伝えてくれるのです。親ができることは、「外の師匠」に出会えるようなサポートをすることです。部活動や習い事に関してはどんどん奨励しましょう。