よじのぼる~子どものイライラ行動

おやのめぐみ

大人にも忍耐が必要

階段だけでなく、すべり台、ジャングルジムなどから足を滑らせて落ちるという事故は、古今東西、子どもたちが経験する大きな事故の一つです。打ちどころが悪ければ、取り返しのつかない事態になりかねません。

特に初めてのお子さんのときには、心配で手を出さずにはいられないのもわかります。それでも、私はできるだけ手を出さずに見守る勇気と忍耐を、周りの大人たちがもてたらいいなあ、と考えています。

人類の長い歴史のなかでは、一人で歩けるようになれば、自由に遊んでいたはずです。そして、その遊びを通じて、たくさんのことを体で学んでいたはずです。

今は大人が子どもの一挙手一投足に注意を払い、危険がないように配慮できる時代になっていますが、そのことによって、その年代、その時期に発達すべき機能、能力がじゅうぶんに育たないまま大きくなってしまうのではないかという危惧があります。

手を差し伸べるのを我慢して、ギリギリまで手も口も出さずに見守ることが、結果的に将来の危険を回避することにつながるのではないかと思うのです。



『子どもにガミガミ言いたくなったときの対処法31』(PHP研究所)
ついつい口から出てしまう「ガミガミことば」を、どうしたら減らすことができるか。日常の子育てシーンを例に挙げ、具体的に紹介。