やられっぱなしの子が心配~子育ての悩みQ&A

小川圭子

子どもが叩かれたとき親はどうすればいい?

では、叩かれたとき、親は具体的にどう対応すればいいか、いっしょに考えていきましょう。

(1)子どもの学習の機会として見守りましょう

子ども自身、叩かれたらどんなに痛いのか、どんな気持ちになるのるのか、また叩く友だちもいるのだということを経験できます。これから大人になっていくまでには、うれしいこと、楽しいこと、悲しいこと、つらいこと、悔しいことなど、本当にいろいろなことに出会うでしょう。

思わず、友だちに手を出してしまいそうな事態があるかもしれません。「何があっても、叩くことはいけないよ」と小さいときから教えておけば、それは自分の軸となります。

大人になってからもその習慣や考え方は変わらないでしょう。親にできることは、子どもが経験したことやそのと感じた気持ちをしっかりと受けとめること。「そっか、それは悲しかったね。だけどやり返さないでがんばったね」と勇気づけ、あたたかく見守ってください。

(2)言葉でしっかり伝える練習をしましよう

叩かれたときに、どうずればいいのか、子ども自身に具体的に伝えておくことも必要です。叩かれても相手と同じ土俵にはあがらずに、はっきりと「イヤだ」「やめてよ」と言えばいいことを伝えましょう。

弱々しい声だと相手に伝わりにくい場合もあります。大きな声で真剣な顔をして言う練習をするのもいいでしょう。叩く以外の対応方法を知って、自立していけるよう、必要な手助けをしてあげてください。

(3)子どもの個性や判断を大切にしてあげましょう

「やめて」「イヤだ」と強く言えない優しい穏やかな性格の子どももいます。イヤなことをされたら、「イヤ」とはっきり言う勇気やイヤなことをされても許してあげる勇気の大切さを伝えたら、あとは子どもに任せましょう。

心がいっぱいになって泣きながら「やめて!」と大きな声で言うかもしれません。やり返すことがあるかもしれません。それでもあとでいっしょに遊んでいるかもしれません。親としては内心穏やかではないこともあるかもしれませんが、成長のプロセスとして見守ってください。

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