「宿題イヤだ」とグズる子どもを一変させる“親のひと言”

水野達朗、山下真理子

行政の立場から家庭教育支援に取り組む水野達朗氏と、保護者に寄り添いながら現場で支援に携わる山下真理子氏。

同氏の著書である『これで解決!   母子登校 不登校にしない、させない家庭教育』では、不登校の前兆ともいわれる母親の付き添い登校(母子登校)を早期に解決するために大切な家庭教育のあり方を、具体的にマンガで示している。

本稿では同書より、不安の生じる子育てにおいて、家庭内で親が子どもの自立をうながす接し方の実践につながる「親のカウンセリングマインド(PCM=Parents Counseling Mind)」に関する一説を紹介する。

水野達朗(家庭教育アドバイザー、不登校復学支援専門のカウンセラー)
不登校専門の訪問カウンセラーとして多くの不登校の子どもたちと関わり復学へと導く。不登校の解決法として家族内コミュニケーションの在り方に着目し、水野式の家庭教育メソッドである「PCM(=ParentsCounselingMind)」を構築。家族と子どもの自立を第一に考え、全国の親と子をサポート。

山下真理子(家庭教育アドバイザー)
不登校専門の訪問カウンセリング領域と、保護者対象の家庭教育支援領域を専門分野としている。不登校支援では待っているだけでは解決できないケースに対して、直接的に家庭に介入して支援をするアウトリーチ型支援で多くの不登校の子どもたちを復学へと導く。

自立心を育てる「親のカウンセリングマインド」

子育ての不安をたとえるならば、ご家庭は大海原に浮かぶ一隻の船のようなもの。しっかりと方向性を定めて目的地に向かっている船であれば、目の前に広がる海ときれいな空、さわやかな潮風に心が満たされることでしょう。

しかし、大海原に浮かぶ一隻の船という同じ状況でも、乗っている船が灯台の位置がわからず、コンパスも壊れた状態ならば、めざすべき方向を失ってしまいます。そうなれば、広く深い海は得体の知れない恐怖となりますし、青い空や潮風さえもあなたの気持ちを落ち込ませてしまうことでしょう。

そのような子育ての不安を軽減させるためには「子育ての灯台やコンパス」を再確認する必要があります。 その灯台やコンパスになりうるものとして私はPCMを考案しました。

「親のカウンセリングマインド(PCM=Parents Counseling Mind)」には、子育てに有効に使える形に変え て、カウンセラーのテクニックの一部を取り入れています。

これは何か問題が起こったときに対処するような 「治療的」なものではなく、「予防的」「開発的」な考えの中から生まれた水野式の家庭教育理論です。PCMは下記の11本の柱で構成され、テクニックとマインドに分けられます。

・アクティブリスニング
・アイメッセージ
・命令・指示・提案を極力避ける
・子と同レベルの会話をしない
・親の問題と子の問題を分けて考える
・先回りして子どもの経験を奪わない
・不足不満を言わない
・悲しいときは悲しい顔で
・うれしいときはうれしい顔で
・叱り役の立場を下げない
・ターン・テーキング

この中から、今回は「アクティブリスニング」について解説します。