親の顔色をうかがう~子育て相談室

斉藤孝子

些細なことで叱ったり、怒鳴ってしまい、子どもが顔色を窺うようになってしまったと悩む相談者。シングルエイジ教育研究会の斉藤孝子さんが、子育ての悩みに答えます。

※この記事はWEBサイト「PHP INTERFACE」に掲載されたものです。

斉藤孝子(さいとう たかこ)
1963年生まれ。現在、 シングルエイジ教育研究会 主任研究員。1990年から1992年の2年間、衛星チャンネルで公開授業を放映。各種雑誌での執筆の傍ら、幼稚園などの研修や教材開発を手がける。かぞくの雑誌「きらら」、シングルエイジ教育誌に連載中。「幼児は表現の天才」(アドア出版)「母と子と先生と」(創教出版)「生き方の原理原則を教える道徳教育」(明治図書)などにも執筆。2児の母。

イライラして子どもを怒鳴りつけてしまう

我が家には、3歳3ヶ月と1歳2ヶ月の兄弟がいます。悩みは上の子の事です。

私の叱り方が悪かったせいでしょうが、親の顔色をうかがうようになってしまいました。

私がちょっとでも怒った顔をすると、「ボクはいい子よ」とか「ボクはママが好きなの!」など、半泣きの状態で私に訴えてきます。

「私が叱りすぎて育てたせいだ…」と思いますが、叱る(怒鳴る)事をやめる事ができません。些細な事・怒らなくてもよいような事まで、時には怒鳴りつけてしまいます。

上の子は、ご近所のおばあちゃん達からも「いい子ね」「さすがお兄ちゃんね」、「子供らしい子供ね」とお世辞かもしれませんが、よく誉めて(?)いただける息子です。下の子が生まれてからは、私も上の子に頼る事が多くなっています。オムツなどをもって来てもらったりしますし、オモチャや絵本は自分で片付けもしています。「素直な良い子」だと思います。また、私が大好きな子です。でも何故か私はイライラし、怒鳴りつけます。

主人は育児にも協力的で、私が叱っているとほとんどの場合黙って聞き、私の後に子供にゆっくり優しく何故私が怒ったのかなど言って聞かせています。私は上の子が、私の顔色をうかがわず、ノビノビと育って欲しいです。今からどうしたらいいのでしょうか? 私が変わるには、どう努力したらいいのでしょうか?

(26歳、女性)

孝子先生からのアドバイス

手を出すことは危険な時以外はいけないけれど、他の部分は、変わらなくていいのではないかしら。

文面から、お母さんのお子さんへ向ける大好きな思いは、とってもよくわかりますし、お父さんとの関係もすごく上手くいっていますよね。お母さんが怒っている姿を見て、ご主人がお母さんを叱責するパターンってよくあるんですよ。あなたのご主人は、あなたのことをすごく理解してくれていて、お子さんにちゃんと説明していらっしゃる…なんて、すてきなご主人でしょう。

子育ては、できれば、叱らないでいたいと誰もが思うことでしょう。でも、それは、無理。だって、親は子どもを育てるという責任があるもの。だから、よりよく育って欲しいと思うからこそ叱ってしまう。

叱り方に問題はありますが、叱ることが多くなるということは、それだけお子さんも大きく成長している証しではないでしょうか。もし、お母さんが些細なことで叱ってしまったと思うことがあったら、それは、人間として、素直にお子さんに謝ればいいのです。

ご近所のおばあちゃん達からも「いい子ね」「さすがお兄ちゃんね」「子供らしい子供ね」と、よく誉めていただけるお子さんは、きっと、のびのびと育っていると思いますよ。ご近所の方からいただくお誉めの言葉を、お母さんご自身も「さすが、お兄ちゃん。ありがとう」と何度も声にだして、たくさんほめてあげてくださいね。「1つ叱ったら3つはほめる」という気持ちで。