「言わなくてもできる子」になる!年齢別の上手な伝え方

大日向雅美

10歳…相手との関係を把握し、対等な立場で話し合いができるように

対人関係が広がり、論理的な思考ができるようになってくる時期です。自分なりに考えたり、相手との相互関係の中でお互いの意見を交換しながら話し合うことで、「一度決まったことでも、皆で話し合って納得すれば変えていいんだ」など、折り合いをつけることができるようになります。

家庭でも、親子で「なぜ〇〇を守らなくてはいけないのか」などの話し合いができるようになりますが、反抗期が始まり、自分のことをあまり話さなくなるのもこの時期。

親はつい、子どもを放っておきがちになります。ようやく親子が対等に近い形で向き合えるようになったのですから、折にふれ「今日は学校で何が楽しかった?」など、日頃から意識して子どもと会話を重ねましょう。

・伝えるときのポイント:自分の体験談を話す

親自身のことを語り、時には人生相談をしてほしいことを一方的に伝えるのではなく、「お母さんは子どもの頃、こんな失敗をして恥ずかしかったのよ」など、自分の体験談を話すと子どもも共感し、親の話に耳を傾けるようになります。あなた自身の悩みを相談し、子どもの考えを聞く中で、話し合いへとつなげていくのもよいでしょう。

言うことを聞かないわが子を”楽しむ”くらいのゆとりをもって

思うようにいかないのが子育て。それなら、うまくいかないことを楽しんでしまいましょう。

ひと昔前、日本が貧しい時代は親が朝から晩まで必死に働き、子どもはそんな姿を見ながら、ひたすら親のあとをついていったものでした。

あらゆる情報やモノがあふれる豊かな時代となった今、多くのお母さんは、情報に振り回され、子どもに少し目を向け過ぎているように思います。もしかしたら「子どもが言うことを聞かない」と思うのは、そのせいかもしれません。 

子どもは、着地したあと、どの方向に飛ぶのかわからない「ラグビーボール」のようなもの。お母さんが子どもによかれと思って情報やルールを与えても、期待通りの言動が返ってくることは、まず望めないでしょう。

でも、それが子育ての面白さであり、醍醐味なのではないでしょうか。言うことを聞かないわが子の言動を〝楽しむ〟くらいのゆとりをもち、お子さんとおおらかに関わっていけたらいいですね。

・周りの手を借りながら自分の人生を生きて

お母さんが1人で「言うことを聞かせよう」と思えば思うほど、ますます子どもに目が向き過ぎてしまうので、お父さんはもちろん、おじいちゃん、おばあちゃん、園や学校、習い事の先生など、あなたの代わりにわが子を受けとめてくれる人をつくることも大切です。

そして、親は子どもに自分の人生を背負わせることなく、自分自身の人生を楽しみ一生懸命に生きていく。そうすれば、子どもは自然と自立していき、”言わなくてもできる子”に成長していくはずです。