やってませんか? 子どもを算数嫌いにさせる「親の教え方」

小杉拓也
2024.04.20 23:07 2023.03.15 16:28
 

親の間違った教え方が算数嫌いを助長させる

やってませんか? 子どもを算数嫌いにさせる「親の教え方」の画像3

小杉先生の著書『小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本』には親が子どもに勉強を教えるときのポイントが全パートに渡って掲載されている。親がどう教えるか、ここにも大きな落とし穴があるという。

「子どもが算数の分からない問題をお父さん、お母さんに質問に来ることって結構多いと思います。こういう時は子どもにとっていちばん分かりやすい教え方をしてあげるのが理想です。でも、子どもが余計混乱する教え方をしてしまう親御さんもいるんですね。

これが更に子どもの算数嫌いを助長してしまうんです。例えば、『24分は何時間ですか』という算数の単位換算の問題。これを『分を時間に直すには60で割ればいい』というように、解き方だけを暗記させるような教え方は、望ましいとはいえません。

『24分は、1時間(=60分)を60等分したうちの24にあたる。だから、24分は、(24/60=)2/5時間にあたる』というように、なぜそうなるのか筋道立てて教えることが大切です」(小杉先生)

また、小学生の算数には小学生なりの解き方があり、「数学」とは違う点があるという認識を持たなくてはならないという。教える前に本書の「教えるときのポイント」を一読しておくといいだろう。

ビジネスパーソン、主婦などにも好評な理由

本書はビジネスパーソン、ご高齢の方々にもよく売れているという。どういうニーズなのか?

「数字にコンプレックスを持っている大人が基礎教養として買ってくださることも多いようです。苦手意識をなくすためのスイッチとして使っていただければ嬉しいですね。頭の体操として買ってくださっている方もいらっしゃって、ありがたいです」(小杉先生)

電卓やエクセルがあるので、日常で計算をすることは少なくなった。果たして今、小数×小数の計算をパッとできる人はどれぐらいいるだろうか。小数点の位置を正しく打てるだろうか。大人が学びなおしとして本書を使っている人が多いというのも面白い傾向だ。

ビジネスシーンだけではない。よくスーパーやデパートなどである光景だが、

A.3個800円の石鹸
B.4個1,100円の石鹸

の同じ石鹸のセットが並んでいたとする。どちらがお得だろうか。

「これを800÷3と計算し始めるのは時間がかかります。こういうとき、最小公倍数を使うのがおすすめです。3と4の最小公倍数は12。12個にしたときの値段で比べるのがスマートです」(小杉先生)

A.12個 800×4=3,200円
B.12個 1,100×3=3,300円

よってAの方がお得となる。

「算数を使ってスマートに生きよう、がテーマです。本書で子どもと一緒に学びながら、数字に苦しまない快適な生活を送ってほしいですね」(小杉先生)

算数に強い子どもは根気強くあきらめない気持ちをもっていることが多いという。筋道を立てて計算式を作り、順序良く解く必要がある科目だからである。小杉先生がヒントを出そうとしても「ダメ! ヒント待って!」と最後まで自分で考え抜こうとする子どももいるという。

「大人でいうロジカルシンキング、論理的思考力ですね。算数の文章題を解くとき、『どうやったら解けるのか』複数の仮説を考え出し、その中から論理的に最適と思われる方法を、短時間で見つけることが必要になります。

ですから、算数によって、順序だって考え、正しい選択ができる力を育てることができると思います。受験のための一科目と割り切るのではなく、お子さんの将来性も考えて算数に取り組んでほしいですね」(小杉先生)

算数嫌いのお子さんがいる方、数字に弱いなと感じる方、ぜひ本書を手に取ってみてもらいたい。算数に対する見方を必ず変えてくれるはずだ。