共通テストにも導入予定の新科目「歴史総合」…小中学生から始める3つの対策
親にできることは「聞いてあげる」こと
――「自分で考えて説明できるようにする」というのは、なかなか大変そうです。
【馬屋原】目指すところは、ひとりで考えられるという「思考力」です。これを鍛えるにはどうしたらいいのでしょうか。ひとりで考えるという行為は、自分との対話だったり、自分の中に数人の人間を立てて会話をしたりすることです。
でも、ひとりで考えているだけではすぐに限界がおとずれます。ここで大きな武器になるのが情報、特に文章ですね。今は動画も増えていますが、見るだけだとどうしても受け身になってしまうこともあり、やはり思考との相性は文章の方がいいと思います。
子どもたちがしっかり文章を読んで、批判したり共感したりしながら自分の中での対話を続け、思考を広げていく。そうやって身につけた知識は、今度は他人に説明できなくてはなりません。ここで、説明を聞いてくれる人が必要になります。
――親はその役割を担えると思いますか?
【馬屋原】脳が活性化していちばん理解が進むのは、人に説明する時です。ご両親も忙しいので無理強いはできませんが、お子さんが習ってきたことを話したいと思っているようであれば、どんどん聞いてあげることが大切だと思います。教える必要はありません。まずは聞いてあげることですね。
考える力というのは、自分自身あるいは他者とのコミュニケーション力に近しいものです。だからこそ、特に自分一人で考える力をこれから身に着けていこうとしている子どもにとって、話を聞いてくれる人の存在はとても貴重なのだと思います。
学習まんがを活用しよう
――話を聞いてあげる以外に、親にできることはあるでしょうか。
【馬屋原】先ほど文章を読むことが大事だと申し上げましたが、自分で考えられる子供は図鑑や学習まんがからも世界を広げていくことができます。ですから、学習まんがをアクセスしやすいところに置いておくのもいいと思います。でも、親が「読みましょう」と言うと反発されるだけかもしれませんから、まずは置いておくだけで構いません。
世界史の学習まんがとしては、『角川まんが学習シリーズ 世界の歴史』があります。東京大学名誉教授の羽田正先生が全巻を監修し、各巻の各章はそれぞれの専門家が監修しています。
それぞれの巻を時代で区切り、その時代の国や地域のつながりを描くというスタイルは、まさに「グローバル・ヒストリー」の考え方に対応するものです。描いているまんが家さんは各巻で異なりますが、コマ割りや絵柄に統一感があるので非常に読みやすく仕上がっています。
このシリーズは小学生でも読めるように編集されているということですが、内容と情報量に関しては一切の妥協、遠慮がありません。「情報の暴力」と言っても過言ではないほどです。わかりやすさを期待して飛びつくと裏切られるかもしれませんが、考える入試になればなるほどテキストとしても威力を発揮するのではないかと思います。