太陽が消滅したら地球は45日で凍りつく…って起こったことがないのになぜ分かる?

ニュー・サイエンティスト,西川由紀子,千葉和義

もし太陽の光が消えたらどうなる? 人間が月に降り立ったことを証明する方法は存在するの? …イギリスの科学技術雑誌「ニュー・サイエンティスト」に寄せられた、読者が生活のなかで感じた「地球と宇宙」に関する疑問についてご紹介します。

※本稿は、ニュー・サイエンティスト(編集)、西川由紀子(翻訳)、千葉和義(監修)『どうしてオナラはくさいのかな? 人に聞けない!? ヘンテコ疑問に科学でこたえる!』評論社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

【ニュー・サイエンティスト】
1956年にイギリスで創刊された科学情報誌。科学技術分野の最新情報を一般読者にもわかりやすく解説することで人気を博す。週刊誌、HP、SNSなど、さまざまな媒体で情報を発信し続け、世界中の読者から支持されている。

地球上で、海からもっとも遠くはなれた地点はどこ?

海からもっとも遠くはなれた地点を「到達不能極」という。

海岸線をどうとらえるかによって、いくつか候補地があるけど、一番有名なのは、中国の新疆ウイグル自治区にあるグルバンテュンギュト砂漠で、北緯46度17分、東経86度40分に位置する。そこからもっとも近い海岸線は、黄海の天津で、およそ2,645 キロメートルはなれている。

この場所だってことはずっと昔にわかっていたんだけど、人がおとずれたのは1986年6月27日のこと。最初に足を運んだのは測量士の探検家、ニコラス・クレインとリチャード・クレイン、イギリス人のいとこ同士だ。

2人は、発展途上国の技術的進歩を支援する募金集めのために、ヒンドゥークシ山脈とゴビ砂漠を自転車で越えて、その地をおとずれた。

ところで、その場所はどんなところだったの? 夏はすこぶる暑く、冬はめちゃくちゃ寒かった。

それはどうして? 気温の差がはげしいのは、海からものすごく遠くはなれているから。毎日、太陽が陸地をまたたく間にあたため(その上の大気もあたためる)、夜になると急激にひえる。

その一方で、水は温まるのにもつめたくなるのにもずっと長い時間がかかり、保温力が高いとされている。つまり、水もその上の空気も、昼と夜で一定の温度を保ちやすい。そのため、海に近い陸地も、一定の気温を保ちやすい。

ということは、海から遠くはなれればはなれるほど、気候は極端に変わりやすい。そして到達不能極は、どこよりも海から遠くはなれている場所だ。

グルバンテュンギュト砂漠のモンゴル語名称には、現地の言葉で「砂漠」を意味する単語が使われていて、新疆ウイグル自治区のこのあたりは、ゴビ砂漠の延長部分ではないかと考えられている。

気温は、冬はマイナス40度まで下がるけど、夏の日中は50度の灼熱になる。そして、24時間のあいだに、なんと32度も上下することもあるんだって!

到達不能極をおとずれたいなら、海水パンツや日焼け止めクリーム、真冬のコートも必要かもね!