「早く!」と「ダメ!」は子どもの可能性をつぶすNGワード

河井英子

「早く!」「ダメ!」……あなたは一日何回子どもに言っていますか? つい言ってしまうこの言葉が、子どものやる気や自信を奪ってしまうことがあります。

※本記事は、『PHPのびのび子育て』2015年9月号より、一部を抜粋編集したものです。

河井英子(武蔵丘短期大学教授)
東京都内の教育委員会教育相談室で長年相談員を務め、現職。子どもの心をテーマにした健康の心理学、発達と学習の心理学が専門。

始めよう、怒らない子育て 親のガミガミが子どもの可能性をつぶす!

お母さんの発する言葉の中で、「早く!」と「ダメ!」は、最も頻度の高いものです。子どもは未熟で、注意しなければならないと思うことばかりしますし、実際、親の願い通りには動いてくれません。

だからつい声を荒らげてしまうのでしょう。お母さんとしては、こんなことでは子どもが後で困るから今のうちに何とかしなければ、という思いもあって、毎日「早く」「ダメ」が繰り返されるのだと思います。

義務的、感情的に叱っても子どもには届かない

初めは子どものためという思いから発していた言葉が次第に無意識化され、習慣的なものになってはいませんか?

さらにそれらの言葉は繰り返されながら、「どうして言うことを聞かないの!」などと、感情の渦の中に巻き込まれてしまってはいないでしょうか? そうなると、お母さんの言葉は子どもの心から遠く離れてしまいます。

やろうとしている矢先に「早く!」と言われたり、せっかく頑張ったのに「ダメね!」などと言われては、子どもだって気持ちが折れてしまいます。心無い言葉かけは効果がないばかりか、逆に子どもを追い詰め、自信を喪失させてしまいます。

子どもに対しては心を込め、きちんと伝えましょう。親がどうしてもという思いで伝えれば、子どもに必ず届きます。子どもは親の言動には敏感です。親の状況や気持ちを素直に感じ取ろうとしているのです。

しっかりと子どもの気持ちを受け止めながら、子どもの心に自信や意欲を育てていけるような言葉かけをしていきたいものです。