幼児期が大切!「聞く力」で伸びる 7つの能力

河井英子

【能力5】 話す力が備わる

「聞くこと」は「話すこと」の土台となる能力です。ただ、はじめにも指摘したように、私たちは話すことに注意を向けすぎてきた傾向があります。話すことは大事なことですが、話すことだけを強要してもあまり効果的ではありません。

赤ちゃんが言葉を覚えて話すことができるようになるためには、話せる言葉以上に聞き分ける言葉が多くあり、言葉の理解力が備わってはじめて言葉として発することができるのです。

それは赤ちゃんから成長した子どもにとっても言えることです。その土台となるしっかりとした「聞く力」があれば、話す力もおのずから備わっていくと言ってもいいでしょう。

【能力6】 読解力や作文の力を伸ばす

「聞くこと」によって、話す力も伸びていくと書きましたが、それは文字の世界にも通用することです。「聞くこと」は言語能力を育てるもっとも基本的な活動ですから、「聞くこと」によって、子どもの言葉の世界が豊かになり、文字を通した言語活動が豊かに育つ土台をつくることになります。

幼児期においてはまだ読んだり、書いたりはあまり要求されませんが、いずれ学校生活が始まったら、そのことは大きな比重を占めるようになります。この時期の「読み聞かせ」が子どもの心を豊かにすると同時に、将来の「読み言葉」や「書き言葉」の基礎になっているのです。

【能力7】 学力を伸ばす

「聞く力」を身につけることが将来の学力にかかわると言うと、お母さん方は目の色を変えるかもしれませんね。言葉は知識や知能と密接に関係しています。

言葉をしっかりと聞くことは、単に国語の力がつくというだけでなく、思考力を高め、理解力を深めることにも深くつながっていきます。そのことは学習の基礎であり、学力を伸ばすもっとも重要な条件と言えるでしょう。

しっかりと「聞く力」を身につけた子どもは、いずれ必ず学力が伸びていきます。