「大学の偏差値に妙に詳しい受験生」が受験に失敗しがちな理由
必要以上に大学の情報を調べない
大学の知識や偏差値に異様に詳しくなる。これ、毎年必ず出現する学歴・大学マスターあるあるです。
でもあまりに知りすぎてしまうと、大学受験には悪影響です。
「●●大学●●学部の偏差値は70!」
「●●大学の教育学部は教員養成学部じゃなくて開放制!」
「有名人の〇〇は●●大学を3浪して中退!」
こうした受験と関係ない背景知識だけポンポン出てくるようになったら、あなたもめでたく多浪予備軍と言えるでしょう。
私みたいに高校で多くの科目を未履修ならまだしも、たいていの場合、浪人は高校時代にやってきたことを復習する1年になります。多浪となると、何年も何年も同じことを繰り返すことになるのは言うまでもありません。
だからこそ、高校の同級生から聞く話や、教科書や参考書に書いてある事柄、ネットで得る情報などを蓄積し、大学に入れないのに、大学に異様に詳しい人間ができていってしまいます。
大学受験は恋です。情報を仕入れすぎるとその大学の学部に固執してしまったり、行きたくない理由を探し始めたりするという悪影響を受けます。大学に入ってもいないのに、片想いする時間が長すぎて依存メンヘラ化したり、倦怠期が起こったりするのです。
残念ながら、高校生の段階からもうすでにそうした兆候が見られる生徒も確実に一定数います。受験勉強に集中できなくなって、マスターならぬ、ピリリと辛いマスタード味の思い出をつくらないようにしましょうね。
全ての誘惑を払いのけ、常に気を引き締める
欲に忠実な人間は多浪する。これ、あるあるof Theあるあるですね。
もちろん、受験生である以上、適度な息抜きは必要です。とはいえ、羽目を外しすぎると本当にロクなことがありません。
「毎日勉強頑張ってるし、たまにはちょっとくらい遊んだっていいか」「大晦日と元日くらいはテレビ番組見てもいいだろう」
「今日くらいは自分にご褒美をあげてゲームしよう」
こうした考え・行動は非常に危険です。なぜかというと一度緩んだものはなかなか修復できないからです。
強烈な甘い蜜を一度味わったが最後、奥まで引きずり込まれてからめとられます。
私は『カイジ』という漫画が好きなのですが、この作品では主人公・カイジが借金で地下労働施設に入れられ、強制労働をさせられるシーンがあります。
地下労働で得られる代替通貨(ペリカ)はごくわずかです。ほとんどの労働者は柿ピーや焼き鳥といった嗜好品にその通貨を使いますが、彼は節約して地上に出るための資金にしようとしました。この心がけは大変立派です。
しかし、そんなときに誘惑してくるのが悪い大人というもの。必死に自制しようとしているカイジに、作業班の班長・大槻はビールをプレゼントしました。そのビールを飲んでしまったカイジは、禁欲生活をしていたこともあり、ビールのあまりのうまさに衝撃を覚えます。そして、班長が販売する柿ピーや焼き鳥に金銭の大半を費やしてしまい、タガが外れたように豪遊してしまいました。
借金するような根が自堕落な人間は、一度欲望を解放させると我慢できなくなるという習性を、班長は熟知していたのです。
この制限された地下労働施設で受ける抑圧と解放の仕組みは、受験と非常によく似通っている部分があります。
私の知人で、高校時代に真面目に勉強して、浪人せずに難関国立大学に合格した人がいます。彼は大学を卒業した後、医学部に入り直そうとして再び勉強を始めましたが、なかなか単調な受験生活に身が入りませんでした。そのような感じだったので当然、試験は不合格。受験を失敗した彼は私にこう言いました。
「遊びを覚えてしまったからもう無理かな」
お酒や合コンを知ってしまった彼は、もう高校時代のようにまっすぐ勉強を続けることはできなくなっていました。
この例のように、大人になってからもう一度受験をすることは本当に大変なのです。私の知人で現状に不満を持ち、再受験を決断した人は彼の他にも一定数いますが、最後まで成功させた人はほぼいません。
メディアで披露されたりネットに転がっていたりする再受験体験談は本当にごく少数の、鉄の意志を持っていたがゆえに成功できたものなのです。
私が大人になってからも働きながら受験生活を続けることができたのは、遊びらしい遊びをした時期がなく、毎日目の前のことに真剣に取り組み、必死に生きてきたからだという自負があります。9年間で勉強をやめていた時期がないからこそ、できたことでした。
一度でも欲望を解放させたが最後、もう少し、もう少しと悪魔がつけ込み、あなたの精神を蝕むしばんでいきます。
現役生の皆さんも、テレビやYouTubeを見たりゲームをしたりすることがあるでしょうが、のめり込まないように注意が必要です。本当に勉強にだけに集中できる環境や気力は、10代の今しかないのですからね。
浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと
受験人口の減少や大学は誰でも入れるなどの言葉が言われて久しいが、それでも有名大学を中心に実質倍率3倍以上の大学が多数あるなど、多くの現役生や浪人生が厳しい戦いを強いられている現状がある。本書は「多浪生である著者に学ぶ、受験においてやってはいけないこと」をまとめた一冊。自身も多浪生であった著者や友人の多浪生が実際にやってきたことであるため、説得力があるものである。