「ガマンする力」は、どう育まれるのか

植松紀子

7~9歳 この時期にガマンする力を養うには?

・友人や先生との関係が大事

小学生になると幼児期とは異なり、小学校生活を送ります。1年生の1学期は幼児期の延長のようですが、2学期になると小学校生活が本格的に始まります。7歳頃から、親との関係が主ではなく、友人や先生との関係に重きを置きます。

8歳頃からは、生意気になり、親に口答えをします。自分はもう”赤ちゃんではない”し、”親の付属物”でもないと意識しはじめます。自分のルーツを探しはじめ、親が本当の自分の親なのかをチェックしはじめる子どももいます。

・子どもの意向を大切に

頭ごなしに叱ったり、暴言を吐いたり暴力を振るう親は、自分の本当の親ではないと考えたりします。自分の話をただ聞いてほしい(意見を求めない限り黙ってあいづちを打ちながら聞いてほしい、遊んでほしい、勉強を一緒に考えてほしい)と望んでいます。

体も微妙に変化し、思春期の兆候が出始めます。背が急に高くなると骨や筋肉などのバランスを崩し、痛みを訴えたりします。親がなでてあげたり、話をゆっくり聞いてあげると安心し、痛みをガマンしたり友人関係がスムーズにいかなくともグッとこらえることができます。

宿題も遊びたいのをガマンしてやり終えたりします。一方で塾や学校以外の勉強も、自分が「やりたい、やってみよう」と思わない限り、ガマンして続けることは難しくなります。つまり、本人の意識次第なので、親は「ガマンしなさい」ではなく、子ども自身のやる気を高めるような言動を心がけましょう。

・子どもを信じて

10歳は自分の人生の方向性を決める時期だ、とアルフレッド・アドラー博士は言っています。私も、常々子どものセラピーを行なう中で、それを感じています。

それまで自分で決定し、ガマンして行動してきた子どもは、失敗や成功を繰り返し、何をどうガマンすれば成功につながるかを体験しているのです。また、人間関係でも10歳頃に気の合う友だちが見つかれば、ずっとそのタイプの人と気が合うようです。

親はとにかく子どもの行動を信じ、マラソンの伴走者のように伴走しつづけることで、子どもは安心と勇気をもらい、必要なときに自らガマンするようになるのです。

中学生、高校生、青年期における「ガマン」は、子ども自身が決心すればすべて可能になるように思います。