すぐに物を投げる1歳児に「ダメ」と言わない方がいい理由
家の中で走り回ったり、物を投げるわが子にはどのような対応をすればいいのでしょうか。植松紀子さんが解説します。
※本稿は植松紀子著『1~6歳子どもにさせていいガマン・わるいガマン―「ガマンしなさい!」と怒らずにすむ』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。
植松紀子(植松メンタルヘルス・ルーム主宰)
日本大学心理学科卒業。臨床心理士、日本大学講師。武蔵野赤十字病院こどもの相談室、神奈川県内の児童相談所、「こどもの城」小児保健部を経て、現在「植松メンタルヘルス・ルーム」を主宰。自治体の乳幼児健診にも携わり、多くの母親の悩みを聞いている。二児を育てた経験と5人の孫と過ごす日々、40年間育児相談を受けてきた経験に基づく子育てノウハウには定評がある。
1歳の子どもは、なぜ物を投げる?
【場面】1歳児「物を投げる、走り回る、食べない」
→発達上、必要なトレーニングだと考える
「いくらダメって言っても、物を投げるんです」
「チョコチョコ走り回ってばかりいて、困ります」
「キライなおかずをべーッと出すんです」
1歳半健診で心理相談に来るお母さんたちは、たいてい「最近、言うことを聞かなくなった」ち悩んでいます。
何度言っても聞かないので、つい手をパチッとたたいたり、叱り飛ばして、子どもがワーッと泣きわめく…。そんなことを繰り返しているケースが、よく見られます。
でも、ちょっと考えてみてください。どうして、1歳の子どもは物を投げるのでしょう? 走り回ったり、食べものをはき出したりするのでしょうか?
物を投げるのは、腕の筋肉が発達してきている証拠です。チョコチョコ走り回るのは、足の筋肉が発達してきているからです。いわば発達上、必要なトレーニングをしているのであって、けっして乱暴を働いているわけではありません。
それを「投げちゃダメ!」「走っちゃダメ!」と禁止して、やめさせるのは、子どもにとって不必要なガマンです。
家の中で走り回られたり、物を投げられたりしては困る、というのだったら、外に出て、子どもが思い切り投げたり走ったりできるような環境を用意してあげましょう。
公園に行って好きなだけ走り回れば、あっという間に足の筋肉がついていきます。筋肉が発達してしまえば、もうむやみやたらと物を投げたり、走り回ったりしなくなります。
子どもはちゃんと、理にかなったことをしているのですから、無理にやめさせたりせず、「これは成長に必用なことなんだ」と親が理解してあげてください。
1~6歳子どもにさせていいガマン・わるいガマン―「ガマンしなさい!」と怒らずにすむ(PHP研究所)
「早く!」「ダメ!」 当然のようにさせているガマンの大半が、実は、させる必要がありません。不要なガマンと必要なガマンとはどんなものなのかを子どもの年齢別に紹介しています。
1~6歳 子どもにさせていいガマン・わるいガマン―「ガマンしなさい!」と怒らずにすむ
「早く!」「ダメ!」 当然のようにさせているガマンの大半が、実は、させる必要がありません。不要なガマンと必要なガマンとはどんなものなのかを子どもの年齢別に紹介しています。