動物を40年研究してわかったこと…子どもの自立心は朝に育つ

島泰三

自立に向かう4つのステップ

人の成長は他の動物よりもゆったりしていますが、いずれ自立しなければいけません。ここでは年代別に、「一人前の大人に育てるために心がけたいこと」をご紹介します。

【0~1歳のとき】

人間にとって皮膚とは、脳につながる神経系の末端です。だからこそ生後すぐの時期に大切にしたいのが皮膚接触。優しく手足をさする、抱くという心地良い皮膚感覚を体験させてください。

また、赤ちゃんの脳の容積は、生後1年で倍になるほど大きく成長を遂げます。赤ちゃんがしきりにあくびをするのは脳の神経細胞の発達にはたくさんの酸素が必要だからです。そのため、酸素濃度の高い緑の多い場所で散歩をすることも、脳の成長を促します。

【2~4歳のとき】

この時期の子どもは、次から次へと遊びの材料を探しています。何か新しいことをしたい、という目で周りを見回し、切れ間なく遊ぶことで「できること」を増やしていきます。

同時に、自己主張やいたずらも増える時期。人間は「命令すると服従する」犬とは異なり、「禁止されると裏をかいて別の方法を探す」サルの仲間ですから、「ダメ」と禁止するといっそう反発するもの。別の興味の対象を見つけるなど、親の対処にも知恵が必要になってきます。

【5~6歳のとき】

この時期に子どもの脳容量は大人のほぼ9割にまで達します。親はその成長を認め、子ども扱いせず「この子は知識を必要としている」という心構えで会話することが大切です。

ごっこ遊びが本格的になり、電車の名前、昆虫などにやたらと詳しくなる子もいます。いろいろなものに興味を持ち、質問をしてくるので、親もごまかさずにいっしょに考え、できるかぎり正確に答えてください。家に図鑑や百科事典を用意しておくのもおすすめです。

【7歳以降】

自分の世界をあちこちに広げながら、「自分にぴったりくるもの」を発見しはじめる時期。本、芸術作品、スポーツ選手など、あなたが「本物」だと思うものをすすめてもしっかりと味わえるのでいい刺激になるでしょう。

また、少し上の年代の子を「尊敬する」、また下の年代から「尊敬される」という経験を積むことによって自信を蓄えていきます。そして、祖父母や近所の方などいろいろな年代と関わる体験も大切にしてください。